3Dプリンターは設計図さえあればあらゆるパーツを生産できる。
物流が混乱する有事において、医療・防衛のための必需品確保の手段として注目を集めている。
ウクライナ国内で3Dプリンターを活用し、防衛に必要な物資を自作する試みが広がっている。
物資の支給が限られた現場で、軍から民間ボランティアまでが試行錯誤しながら作業を進める。
現在とくに需要が伸びているのが止血帯だ。
負傷者の手脚にバンドを巻きつけ、プラスチック製のハンドルを回転させることで、
締め付けを調整・固定し、適切な止血状態を維持できる。
ほか、医師が用いる聴診器や、身を守るための潜望鏡、偵察用ドローンの補修部品まで、
数々の品が3Dプリントされている。
必要な器具が不足していればSNSで設計図が共有され、
3Dプリンターを所有する企業とボランティアがガレージで3Dプリントするという体制だ。
物資不足を解消しようと、海外から支援に駆けつける企業も現れている。
ウクライナの隣国・ポーランドからは、3Dプリント企業のシグニス社が、
ウクライナ国内からの支援要請に応じた。
20台の3Dプリンターに加え、材料となる樹脂を大型車両に満載して届けた。
3Dプリンターは単独の製品に特化した工場と異なり、柔軟かつ迅速に、
ニーズに応じて1点から出力することが可能だ。
多くの3Dプリンターは比較的小型であり、地下のシェルターにも設置できることから、
戦時の生産に適している。