世界保健機関(WHO)によると、ここ数週間に12か国で小児肝炎の患者が、
約190人確認されている。
米疾病対策センター(CDC)は29日、謎の肝炎にかかったアラバマ州の子ども9人全員が、
「アデノウイルス41型」という一般的な病原体の検査で陽性だったとする調査結果を発表。
アラバマ州の子どもは1~6歳で、他には健康状態に問題がなかった。
この小児性肝炎に関しては、ウィスコンシン州の死者1人をはじめ、全米で調査が進められている。
アラバマ州の子ども9人の症例では、3人が急性肝不全(劇症肝炎)を発症し、うち2人は肝移植を必要とした。
現在は「移植を受けた2人を含め、全員が回復または快方に向かっている」という。
「現時点では、これらの報告事例の原因としてアデノウイルスを疑っているが、
他の潜在的な環境や状況的要因についても調査している」と述べた。
アデノウイルス41型は子どもに胃腸炎を引き起こすことが知られているが、
健康な子どもに肝炎を引き起こすとは一般に知られていない。
9人のほとんどは入院前、大半が嘔吐と下痢に見舞われた。上気道症状が確認された例もあった。
入院中はほとんどの子どもに黄疸と肝臓の肥大化がみられた。
バイリンガル医師のニコラス・レニック氏は、
イギリスで原因不明の急性肝炎が発症した子ども53人を調べたところ、
現在のデータでは、アデノウイルス感染との関連性が示唆されている。
ただ、アデノウイルスは非常によくあるウイルスで、通常は風邪などの症状を起こすだけで、
肝炎を起こすことはない。
なぜアデノウイルスが肝炎を起こしているかが最大の謎だ。
アデノウイルスに関連しているとみられる肝炎に関しては、
基本的に特効薬があるわけではないので、肝臓の機能を強化しつつ、
肝臓の機能が悪くなりすぎれば、肝移植ということになってしまう。
だが、すごく稀な病気なので、あまり不安になり過ぎることは無いという。
皮膚が黄色くなっていたら速やかに受診してほしい。
黄疸の一番わかりやすい所見としては、白目が黄色くなっている。
アデノウイルスは、アルコール消毒よりも、石鹸の手洗いが予防になる。