NHK職員有志が「文藝春秋」6月号(5月10日発売)で、
「前田会長よ、NHKを壊すな」と題したレポートを発表。
職員有志は、30代から50代後半の十数名で、所属は番組制作局、報道局など多岐にわたる。
「NHKとは受信料で成り立つ、国民にとっての共有財産であると信じています。
公共放送であるNHKは、決して国のものではなく、職員、前田会長の所有物でもありません。
このまま前田会長による身勝手な改革を進めれば、NHKは必ず崩壊します」
職員有志によると、現在NHKでは、若手・中堅職員が次々と退局しているという。
「ついこの前も将来を嘱望されていた女性記者が、今の状況に嫌気がさしてヤフーに転職してしまいました。
ネット業界にうつったり、商社や不動産など異業種に飛び込んだり。
前田会長のもとでは未来が描けないとNHKに見切りをつけているのです」
前田会長の改革による悪影響は人事、組織だけではなく、「番組制作」の現場にまで及んでいるという。
「前田会長は『会長特命プロジェクト』と呼ばれる直轄チームを立ち上げ、
改編を担うはずの編成局を差し置き、番組の打ち切りを検討。長年愛されてきた番組が、
会長とごく少数の人間によって潰されています。
『ガッテン!』や『バラエティー生活笑百科』など、長寿番組が突然の打ち切りとなり、
職員の心を挫いています。
27年続いた『ガッテン!』は最近も10%を超える高視聴率の番組です。
現場のスタッフは会長に『せめて不定期で放送させてください』と食い下がりましたが、
前田会長が理解を示すことはなかった」
「『紅白』も打ち切りになる方向で進められています。
すでに前田会長は執行部に『終わらせる』と話しているそうです。
昨年も前田会長による激しい介入があり、紅組、白組の対抗形式を廃止するよう指示。
抵抗した現場は苦し紛れに『カラフル特別企画』を入れていました」
「文藝春秋」編集部が、前田会長本人に事実確認をしたところ、
番組介入について「個々の番組に直接指示することはない」としたうえで、
紅白歌合戦の打ち切りの話は、「番組全部を見直すだけで、変えるかもしれないが、
やめるとまでは言っていない」と答えた。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2022年6月号)