国保有の抗コロナ薬の配分が「災難を解決しない根源」「軽症の人が亡くなっている」
第7波の感染拡大が続く中、宇都宮市インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長が2日、ツイッターを更新。
国が保有する経口抗コロナ薬の使い方が「災難を解決しない根源」などと憤った。
「現在、国は160万人分の抗コロナ薬、ラゲブリオ(モルヌピラビル)持っているが、
使えてるのは25.4万人分。
コロナかどうか検査できず電話もつながらない中、この薬重症化リスクのある人のみ使う草な人が多い。
それが災難を解決しない根源。
軽症の人たちが亡くなっている事実を知り戦略改めよ」とつづり、方針転換を求めた。
厚労省は昨年12月、安定的な供給が難しいことを理由に、ラゲブリオの投与を、
「重症化リスク因子を有する等、本剤の投与が必要と考えられる患者」とし、
一般流通は行わず、厚労省が保有、依頼に基づき医療機関や薬局に配分するとの通達を出した。
倉持院長のツイートを見たフォロワーは、米ニューヨークなどでは、
無料PCRの結果が出た時点で即座に抗ウイルス薬が投与される事例を紹介。
「日本は周回遅れ過ぎ。政府が間接的に人の健康を阻害しているように思います」との声や
「重症化以外の方にも使用すべきです!」
「医者の中でも意見がわかれていて、病気自体の特性がわからないまま、楽観的な情報だけが、
全面にでてしまっているような気がします(原文)」など、さまざまな声が寄せられた。
倉持院長はメディアの報道などで、「数字でみると、病床使用率も余裕あるのかなと見えちゃう」と、
数字から受け取られがちな楽観的イメージを指摘。
しかし「現場では、そもそも発熱したり、症状があっても、医療機関にかかれない、
どこにも連絡が付かないとか、そういう不安の中で、恐ろしい状況の中で過ごしている人が日に日に、
10万人以上、増えているという状況」と説明。
「こういったことは過去になかったわけですから、至急それに適する手当をするべきだと思います」と訴えた。
デルタ株と比較し風邪と同等との声も挙がっているが、倉持医院長は異議を唱える。
「昨今、コロナが風邪と同じような、インフルエンザと変わりないという方がいるんですが、
今の状況というのはそれを通り越していて、中には10代でも、20代でも亡くなる方を、
我々は週に1回とかは見ているんです」と、若い命が失われている現状を訴えた。
「至急、早く検査がきちんとできて、治療薬が届くような仕組みを作らないと、
また次の波が来てしまうから、同じことを延々と繰り返すことになってしまいます」と危機感をあらわにした。
28日、鹿児島市は新型コロナの10代の感染者が自宅待機中に死亡したと発表。
下鶴市長は29日の定例記者会見で「若い世代が重症化しないわけではない」として改めて警戒を呼びかけた。
「第7波」感染拡大のなか、後遺症の一種「ブレーンフォグ」への注目が集まっている。
「ブレーン」は「脳」、「フォグ」は「霧」。文字通り頭の中に霧がかかったような状態で、
集中力や記憶力の低下といった症状がみられる。
現時点で治療法は確立されておらず対症療法しかない。
専門家は感染者数の増加に伴って患者は増えるとして、警戒感を示している。