安倍晋三氏死去で政界の流れにも変化が。
8月3日召集された臨時国会で、新しい参院議長に自民党の尾辻秀久元厚生労働相(81)が選出された。
副議長に立憲民主党の長浜博行議員を選出。
尾辻議員は1989年参院比例区で初当選し、現在6期目。
「参院のドン」と言われ、現在も茂木派(平成研究会)の参院側に影響力を持つ、
青木幹雄元党参院議員会長の薫陶を受けた尾辻議員は、何度も議長候補に挙げられたが、
安倍晋三氏との関係もあって、干されてきた。
岸田文雄総理の誕生によって、参院の権力構造も変わり、ついに三権の長となった。
2015年の総裁選では出馬を目指す野田聖子議員を支援。
「野田議員は障害を抱える息子を持ち、弱者に目を向けるようになった。私と同じだ。
右翼の私は武士道が大事。武士道は弱者と共にある」と語った。
安倍総理(当時)による推薦人引きはがしで野田議員が立候補を断念すると、
尾辻議員は「安倍は保守じゃない。保守なら堂々と戦うはずだ」と漏らした。
18年総裁選では、石破茂元幹事長の選対本部長を務め、「反安倍」を貫いた。
日本遺族会会長を務めた尾辻議員。
安倍氏や取り巻きなども、そうそう無下にも出来なかった。
他党議員の死去に伴う追悼演説を3度も行った。
とりわけ08年、ガンで亡くなった旧民主党の山本孝史参院議員を偲んだ演説は語り草だ。
厚労大臣として山本議員と対峙した参院厚労委員会での「一対一の真剣勝負」を紹介し、
最終盤は目尻に手を添えて「先生、今日は外は雪です。随分痩せておられましたから、寒くありませんか」
と故人に語りかけ、涙を誘った。
一方、激しさでも有名だ。
10年に、勉強会で医療費削減を訴える吉川洋東大教授に「こんなやつ、絶対に許さんからな」と激怒。
13年にはTPP反対派の尾辻議員と推進派の西川公也元農林水産相とが「威張るなよ」
「威張っているのは、そっちだろ」と怒鳴り合い、その状況はテレビで放映された。