ゴールドラッシュのスーダンとも。
日本が主導してアフリカへの支援や投資について話し合うTICAD=アフリカ開発会議の首脳会議が、
27日からチュニジアで開幕し28日閉幕した。
日本は岸田総理が3年間に4兆円超の支援をアフリカに表明。
ロシアは資源開発や武器の取引などを通じて、アフリカの権威主義的な国々との結びつきを深めている。
去年クーデターが起き、軍事政権が続くスーダンもその1つ。
スーダンでは近年、新たな金脈が見つかり、ゴールドラッシュに沸く中、
ロシアが民間企業を隠れみのに違法な金の生産を行っていると指摘されている。
ブローカーによるとスーダン北部のナイル川州では違法な採掘が行われ、
取り出された金鉱石は地元の工場で、水と水銀を加えながら砕くことで、土と金を分ける。
しかし、この方法では、金鉱石が含む金のうちおよそ3割しか取り出せず、
7割の金が残った残土は“カルタ”と呼ばれ、法律上はスーダンの金の製錬企業しか購入することができない。
ブローカーたちは工場からこのカルタを大量に買い占め、ナイル川州に巨大な製錬工場を構えるロシア企業に密売。
ブローカーは「ロシア企業は最も金払いのいい企業だ。商人としては高い金を払うところに売る。
金鉱石を粉砕する工場にとっても私たち仲介人にとっても得になる。
ロシア企業はカルタがあればどんどん買っていく。財力はすごくて、すべて現金で買っていく。
おかげさまでもうかっている」と話した。
ブローカーによると、年間1トン以上の金を生産しているとみられ、その金額は市場価格でおよそ77億円にのぼる。
アメリカのロングアイランド大学に所属し資源開発の現地調査を進めるバクリ・エルメドニ教授は、
「スーダンや中央アフリカなどでは、すでに新たな地政学的な争いが始まっている。
それは従来の争いのようなものではなくもっとスピード感のある資源を直接奪い取る争いだ。
とりわけロシアはウクライナへの侵攻後、そうした動きを加速させている。
実際、メロエ・ゴールドなどはなんの監視も受けずにスーダンから金をロシアに密輸している。
いまスーダンはロシアの新たな金庫になってしまっている」と話した。
中国も以前からアフリカとは結びつきが強い。
2019年7月30日、中国支援でアフリカ横断鉄道が開通。
鉄道はタンザニアのダルエスサラームと、アンゴラのロビトを結び、総距離は4000キロメートル超。
2020年の物品貿易で、中国からアフリカへの輸出額は前年から0.9%増の1,142億ドルで、
中国は12年連続でアフリカ最大の貿易相手国となった。
アフリカのインフラ需要は高く、中国企業が請け負った2020年のアフリカにおける新規建設プロジェクトは、
前年比21.4%増の679億ドルに及んだ。
アフリカの資源確保をもくろむ中国にとって、輸送コストの抑制や効率化につながるなど、
資源確保に向けた布石を打つという観点から重要な意味を持つ。
インフラ投資の中でも、鉄道駅や空港といった交通・輸送インフラでの投資が全体の3割を占める。
現在は第2計画として、ケニア北東のナイバシャへの延伸工事が進んでいる。
さらに、2030年までの目標として、ウガンダの首都カンパラへの延伸も掲げられており、
最終的には南スーダン、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア、DRC、エチオピアなど、
東アフリカの周辺諸国まで延伸する予定となっている。
この事業によって2万6,000人以上の雇用が生まれると見込まれており、
ケニア経済の底上げも期待されているほか、将来的には、域内の物流コスト削減にも寄与するとみられる。
アフリカでますます拡大する中国のプレゼンスについて、現地日系企業からは、
アフリカ市場での中国企業との競争を懸念する見方も強まっている。
中国企業を最も競合関係にあると答えている企業の多くは、自社製品と中国製品との競合を挙げている。
一方で、アフリカで事業を進めるに当たり、「パートナーとなる国」として中国企業を回答した割合も増加している。
日本がアフリカで存在感を強めていく上で、民間企業の力は重要だ。
もっとも、日系企業にとっては中国企業との価格競争は厳しい。
安倍とプーチン、岸田とアフリカの関係にならないことを願うのみだが、
ロシア相手に良いように利用された日本は中国に勝てるのか。
岸田総理は、日本企業後押しの方が賢明だったかもしれない。
多額の税金をドブに捨てることの無いよう祈るしかない。