一人当たりの国民所得が高く、社会保障制度は世界の最高水準。
ノーベル賞の授賞式も行われる。
そんな理想的な国に見えるスウェーデンだが、過去数年、治安の悪化が著しい。
薬物や銃器を扱う犯罪集団が乱立し、縄張り争いの抗争が拡大。
銃や爆発物を使った凶悪犯罪が市民も巻き込んで白昼から起きるようになっている。
今年は9月初めまでの銃器による死者が50人近くに上り、既に昨年1年間の犠牲者数を上回った。
スウェーデンでは4月、移民の集団と警官隊の激しい衝突が各地で発生し、
闇夜に自動車が燃え上がる異様な光景が伝えられた.
警察標的の暴力が急増している。
アンデション首相は「全く違う現実を生きている裏の社会が幾つもできてしまっている」と危機的状況を訴え、
犯罪の「根源」に対し「総攻撃」を行うと宣言、対策を急いでいる。
この状況が、過激思想の極右・民主党への支持拡大につながっている。
国会に議席を持てる「得票率4%以上」の条件をクリアしたのは5.7%を得られた2010年の総選挙。
そこから12年間で20%近い支持を得るまで成長。
15年に難民危機が起きたことが大きい。
オーケソン党首は「イスラムこそは第2次大戦後、スウェーデンに突き付けられた最大の脅威だ」と訴え、
着実に支持者を増やし、政権入りを狙っている。
2015年の欧州難民危機で、スウェーデンは最も積極的に移民を受け入れた国の一つだった。
しかし「あまりに多い移民と、受け入れ態勢の整っていなかった社会。
あまりに足りないスウェーデン社会への統合」(アンデション首相)の結果、治安の悪化という副作用が激しい。
出自が外国というスウェーデン市民は過去20年で倍増し、今や200万人と言われる。
人口の5人に1人は「移民」という状態で、低賃金労働を支え、景気の調整弁にされている。
‘@日本でも不法滞在者の犯罪が増加している。
難民受け入れも課題になっている。
社会の受け入れ態勢を整えなくてはいけない。
対策を急がないとスウェーデンで起きていることが対岸の火事ではなくなる可能性がある。
増悪が増悪を生む社会にしてはならない。