政府は、自衛目的で敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」の保有に合わせ、
攻撃目標を特定するため、多数の小型人工衛星を一体的に運用して情報収集する、
「衛星コンステレーション」を整備する方針を固めた。
全50基の小型衛星の配備を目指し、2024年度にも打ち上げを開始する。
年末までに決定する「防衛計画の大綱」などに方針を明記する。
防衛省は関連経費を23年度当初予算案に計上する方針。
打ち上げるのは、太陽光を利用してカメラで地上を撮影する光学衛星と、
対象物に反射した電波を観測するSAR衛星の2種類の人工衛星。
光学衛星は、天候の良い日中にクリアな画像を取得できる。
一方、SAR衛星は天候が悪い時や夜間でも対象を捉えられる。
特定地点を高い頻度で観察できるため、発射台を備えた車両や艦艇など、
相手部隊の動向をこまめに把握することが可能となる。
防衛省は、中国やロシアが開発を進める「極超音速滑空兵器(HGV)」を探知・追尾できる観測網の整備も目指す。
ただ、開発には時間とコストがかかり、試作機の打ち上げは27年度にずれ込む見通しだという。
内閣官房が運用する「情報収集衛星」は10基態勢を目指し、現在9基が運用されている。
北朝鮮によるミサイル発射の兆候の察知などを担う。
固定目標の定期的な監視には向いているが、動く目標を継続して捉えるのは適さないとされる。