ウクライナのイリーナ・ベレシチュク副首相は、ロシアによる子供の強制移送をとりわけ問題視している。
ウクライナ当局が居場所を突き止めただけで1万6千人の子供がロシア領に連れ去られたといい、
「実際にははるかに多いはずだ」と語る。子供の強制移送は「ジェノサイド」に該当するとの見解も示した。
ロシアはウクライナの孤児院から連れ去った子供を勝手に養子縁組させたり、氏名を改変したりしている。
ロシアにこうした行為をやめさせるため、「良心を持つ全ての人」が声を上げてほしいと訴えた。
ウクライナの東部ドンバス地域や南部クリミア半島ではロシア語使用者が多く、
従来、これらの地域は「親ロ的」と評された。
ロシアは、東部・南部のロシア語使用者が「迫害されている」などとして侵攻の正当化を図ってきた。
ベレシチュク副首相はこの点について、「ウクライナの西部と東部、南部と北部で地域性はあるが、
それが問題や衝突の原因となったことはない。
ましてやロシアが独立国家ウクライナを侵略してよいという理由にはならない」と指摘。
「国境に近い東部がロシアのプロパガンダに感化されやすく、人々がロシア語を話しているのは確かだが、
彼らも同じウクライナ人だ。ロシア語が迫害されているなどというのも真っ赤な噓だ」と断じた。
「ロシアが国際法や条約を唾棄することを決して許してはならない。
国際社会は弱腰で何もできないと思われれば、世界の独裁者が同じことをしても許されると考える。
国際秩序は崩壊し、世界はカオスになる」と述べ、
ウクライナが1991年に独立した際の国境線を回復することが不可欠だと言明。
日本の北方領土問題にも触れ、「われわれは日本の領土保全と主権を支持する。ロシアは侵略者だ」との立場を表明。