世界的な音楽家・作曲家として知られる坂本龍一氏が3月28日に71歳で亡くなった。
環境問題にも取り組んでいた坂本氏は、東京・明治神宮外苑の再開発による自然破壊を懸念し、
2月24日付で小池百合子都知事に見直しを求める手紙を送っていたことを所属事務所が明らかにした。
既存の樹木743本を伐採、再開発は3月22日に着工。
坂本氏は森林保全団体「more trees(モア・トゥリーズ)」の代表も務めてい
た。
(抜粋)
率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。
これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎません。
この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です。
私が住むニューヨークでは、2007年、当時のブルームバーグ市長が市内に100万本の木を植えるというプロジェクトをスタートさせました。
環境面や心の健康への配慮、社会正義、そして何より未来のためであるとの目標をかかげてのこと、慧眼です。
NY市に追随するように、ボストンやLAなどのアメリカの大都市や中規模都市でも植林キャンペーンが進んでいます
いま世界はSDGs(持続可能な開発目標)を推進していますが、神宮外苑の開発はとても持続可能なものとは言えません。
東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。
そして、神宮外苑を未来永劫守るためにも、むしろこの機会に神宮外苑を日本の名勝として指定していただくことを謹んでお願いしたく存じます。
あなたのリーダーシップに期待します。
2023年2月24日
坂本龍一
Ars longa,vita brevis 芸術は長く、人生は短し
(合掌)