TBS NEWS DIG
日本ではまだ認められていない「同性婚」。
お隣、台湾では4年前の2019年に「同性婚」が東アジアで初めて認められ、1万組以上のカップルが誕生している。
なぜ台湾では同性婚が実現できたのか?法案成立に尽力した議員に話を聞いた。
実は台湾でも同性婚成立までには長い道のりがあった。
法案成立に尽力した弁護士で立法院の尤美女(ゆう・びじょ)元委員(67・民進党)に聞いた。
ーー同性婚の法整備を進める上で、何か困難なことはありましたか?
尤さん:宗教団体などの反発がありました。 なぜなら、みんな同性愛のことをよく知らないからです。
同性愛の人に会ったことがないから、怖いと思い、無限に反発が広がってしまうのですね。
ーーどう説得したのですか?
尤さん:説得は簡単ではありませんでした。同性婚賛成派が、様々なグループを立ち上げ、反対する年配の人たちとコミュニケーションをとるようにしました。
同性愛者とはどういうものなのか?つまり、普通の人と同じであり、性的指向が違うだけなのだということを伝え、彼らは悪魔ではないと説明したのです。
台湾で同性婚法制化は市民社会が長い間運動を行ってきたことが関係しています。
1958年にすでに役所に対し、「女性同士で結婚できるか」と問い合わせをした例があります。
皆があきらめなかったのです。
ーー日本ではまだ同性婚が法律で認められていません。なぜ台湾がアジアで初めて同性婚が実現したのでしょうか?
尤さん:いくつかの理由があると思います。 まず、台湾の女性運動、労働運動、社会運動、民主化運動が同時に進行していたということ。
また、台湾は移民社会であり、社会の構造が日本ほど硬直化していないこと。
実は台湾は社会構造が比較的柔軟で、伝統的な制約を突破することが容易なのです。
だからこそ、台湾は民主化後、非常に短期間であらゆる面で急速な進歩を遂げることができたのです。
日本や韓国など儒教の影響が強い、伝統的な社会構造の国では、特に結婚や家族のありかたと社会の進歩を調和させることが非常に難しい。
しかし、台湾では家族に対する考え方が柔軟になってきているので、比較的早く実現することが可能だったといえるでしょう。
当初は、宗教団体などが非常に強く反発しました。選挙を妨害する動きもあり、議員は発言を恐れるようになりました、
特に宗教団体などは「もしあなたが同性婚法案に賛成するなら、私はもうあなたを支援しない」などと言いました。
賛成の人が沈黙し、反対の声が大きくなると、法案を通すのが非常に難しくなります。
日本でも同性愛者の国会議員が当選しています。困難の一つは、彼ら彼女らはまた当選しなければならないということです。
NGOや市民社会、外部の力が彼ら彼女らを応援する雰囲気を作ることが非常に重要で、
立ち上がり、発言すればまた当選できる、政治生命が終わることはないと議員に知らせることが大切なのです。
ーー同性婚を認める法律ができてから、台湾の社会にはどのような変化があったのでしょうか?
尤さん:反対の声がだんだん減ってきて、支持する声が増えています。
(行政院調査では法案成立前の同性婚支持率は37.4%。2022年時点で60.4%)徐々に人々に認知され、安心感を与えていると思います。
同性婚を認めても、日常生活には影響しないし、恐れることはない。
同性愛者も特別な存在ではない、と人々は気づいたのだろうと思います。
反対派の声も以前と同じ言葉を使えば受け入れられなくなる。
法律ができることによって、認識が変わるきっかけになったことは間違いないです。
‘@鋭い洞察力だ。全てが的を得ている。
日本でも理解はしていても何か痞える不安になると言う人は多いだろう。
長年の慣習を変えるのは容易くない。
焦らずに理解し合うことが肝要だ。
そうでなければ分断を生む可能性がある。