組織力の衰えが隠せないのが公明党だ。
2022年参院選の比例代表の得票数は618万票と、非拘束名簿式になった2001年以降で最低となった。
目標としていた800万票には遠く及ばず、2021年の衆院選より100万票近く減らしたのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大による日常活動の制限や旧統一教会問題の影響もある。
しかし最も深刻な構造問題が学会員の高齢化だ。創価学会関係者は語る。
「600万票を割り込むのも時間の問題だろう。創価学会と政治との関わりも変質していく可能性もある」
広島三区の候補者調整やコロナ給付金で煮え湯を飲まされた岸田文雄や、地元で支援を受けていない党副総裁の麻生太郎も公明党には冷淡だ。
このように政権中枢と溝がある状況で、長い連立で溜まった不満のマグマが爆発するのは時間の問題だった。
こうしたなかで自民党内には「もう自公連立も潮時だろう」という冷ややかな声も出ている。
しかし話はそう簡単ではない。岸田総理は次期衆院選で勝利すれば、憲法改正に向けた動きを本格化させたいと考えているからだ。
最近も周囲に「私はハト派でない。リアリストだ」と意欲を見せている。
外務大臣だった2014年にも岸田はこう語っていた。
「安倍さんのような、いかにも保守派の人物より、私のような政治家のほうが憲法改正はやりやすいのだと思います」
憲法改正の動きが具体化すれば、来年9月の自民党総裁選での再選に向けて大きな推進力になるという思惑もある。
しかし衆院選で、もし維新が野党第一党になり公明党の退潮がさらに進めば、自民党内に維新との関係を重視しようという動きが出かねない。
そうすると自公関係はますます難しくなっていく。
さらに安倍晋三死去の影響は自民党内に軋みを生んでいる。安倍が育てた党内保守派のコントロールが難しくなっているのだ。
防衛費増額のための増税や通常国会で成立したLGBT理解増進法に対する対応では、党内対立が表面化した。
『Voice』(2023年8月号)より、内容を一部抜粋・編集