政府トップのアウン・サン・スー・チー国家顧問とウィン・ミン大統領が拘束された。
ミャンマーの国軍系テレビは1日午前「非常事態宣言」が発令されたと伝えた。
期間は1年間。国軍出身のミン・スエ副大統領が大統領代理として署名した。
立法・行政・司法の全権がミン・アウン・フライン国軍総司令官に移る。
インターネットや電話の接続に障害が発生しており、
ヤンゴン市の市庁舎周辺に兵士が配備されていたとの目撃情報もある。
NLDは20年11月の総選挙で、改選議席の83%を得て圧勝。
軍政の流れをくむ国軍系の野党、連邦団結発展党(USDP)は議席を大きく減らした。
しかし、USDPと国軍はそれぞれ、選挙に不正があった可能性を指摘。
選挙管理委員会などに詳細な調査を求めていた。
国軍関係者によると、国軍と政府の代表者は28日、
ネピドーで事態収集に向けて話し合ったが、合意できなかった。
現地報道によると、国軍側は票の数え直しや議会の開会延期を求めたが、政府側は拒否した。
国軍は1月26日の記者会見でクーデターを示唆。
ミャンマーメディアはミン・アウン・フライン国軍総司令官が27日に、
「法律を守らない人がいるのならば、それが憲法であっても廃止されるべきだ」と訓示したと報じた。
同国駐在の欧米外交団や国連は29日までに、国軍に民主化プロセスを守るよう相次ぎ声明を出した。
国軍の広報担当は31日「自由で公正な選挙の民主的規範を守るために、可能なことをすべて実行する」
などとした内容の声明を発表していた。
長年にわたり自宅軟禁下に置かれていたスー・チー氏は、
2015年の総選挙でNLDが勝利したことを受け、
事実上の政権トップである国家顧問に就任した。
ミャンマーの民主化に取り組み、ノーベル平和賞を受賞。