聖火リレー 大音量、マスクなしでDJ。
福島の住民が憤ったスポンサーの「復興五輪」
(抜粋)
小高い丘にひっそりと立つ市営陸上競技場がいわき市の聖火リレーコースの出発点となる。
沿道では聖火が来るのを市民が待っていた。
最初に小型車が来て、「もう少しでランナーが来ます。大声は控え、拍手で応援しましょう」とアナウンスされた。
しばらくして、森の陰から「ズチャ、ズチャ、ズチャ」と大音量の音楽を響かせやってきたのは、
「コンボイ」と呼ばれる、宣伝用の改造大型トラック。
真っ赤に塗られた車体に「コカ・コーラ」の文字。リレーの最上位スポンサーだ。
荷台部分の上部分にDJ(ディスクジョッキー)が乗り込み、マイクで叫んだ。
「福島のみなさん1年待ちました」「踊って楽しみましょう」。DJはマスクはつけていない。
観覧客には「大声を出すな」と言っておきながら、沿道と距離は近く、飛沫が飛んできそうだ。
車両は早歩きくらいのスピードでのろのろ進む。並走し、10人ほどのスタッフ(マスクは着用)が、
ダンスを披露したり、接触を避けるはずが、観覧客にタオルを配ったりしている。
ほかの最上位スポンサーであるトヨタ自動車、日本生命、NTTグループの「コンボイ」が続いてやってくる。
「ゆず」や「EXILE」の曲をかけ、こちらはマスクを付けたDJが負けじと声を張り上げる。
いくつもの音楽と掛け声が重なり、大騒音となっていた。
次に、警察車両も合わせて30台ほどがすぎたころ、車両の影から聖火が見えた。
歩道が狭い場所では隣同士の肩が触れ合うほど「密」が生まれていた。
(原田遼)
東京都内で25日夜、聖火リレーに抗議するデモが行われた。