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​東京女子医大で医師100人超が退職。

東洋経済オンライン。

東京都新宿区にある東京女子医科大学の3つの付属病院で、

100人を超える医師が3月までに一斉退職していた。

各病院は大幅に医師が減少した状態で、4月からの新年度を迎えているという。

新型コロナ第4波を迎える中、東京の医療体制にも影響を及ぼしかねない。

昨年、「夏のボーナス支給ゼロ」に対して、看護師約400人が辞職の意向を示した混乱に続き、

今回は医師100人超の一斉退職という異常事態。

ベテランの医師は「若手医師たちから、もう辞めたいと言われた時、引き留める気にはなりませんでした。

ここに残っても状況が良くなる保証は何もありませんし、私も若ければとっくに辞めていましたから」

と、疲れ切っていた。



残された医師は当直業務が一気に増えたという。

当直後、そのまま翌朝からの診療を担当するので体力的な負担は大きい。

関係者によると、一部の診療科が閉鎖され、入院治療の中止を余儀なくされた診療科も出ているという。

その一方で、あまり知られていないが、私立の医大病院に勤める医師給与は、

一般病院に勤務する医師よりもかなり低い。

30歳の場合、東京女子医大の基本給は25.9万円、東京医大:31.1万円。

これに対して、日赤医療センター:41.1万円、がん研有明病院:49.7万円。
(東京医労連調査部「賃金・労働条件実態 2020年度版」より)



名門で華やかなイメージを持つ東京女子医大の医師給与が、最低ランクという現実もある。

「給料が安くても東京女子医大の人気が高いのは、間違いなく国内トップレベルの医療が行われているからだ。

それに公的な資金を獲得して研究を行う場合には、女子医大のネームバリューが圧倒的に有利になります」(30代医師)

東京女子医大が名門としての存在感を放っているのは、日本を代表するカリスマ的な医師が揃っていたからだ。

ただし、それでは生活を維持できないので、救済措置が用意されている。

それは、外部の病院でのアルバイト=「外勤」である。




東京女子医大では週1回の研究日が設定されており、その日は「外勤」に当てられていた。

医師の経験にもよりるが、報酬は、1日働いて8万~10万円。

医師のアルバイト料は、他の業種と比べると破格だ。

ただし、医療ミスなどで、多額の賠償を医師個人が要求されるケースも増えている。

つまり、医師個人がつねにリスクを負いながら仕事をしているのだ。

外勤中の賠償責任保険料は、基本的に各医師の自己負担になる。

さらに、学会の会費や医学誌などの費用を合わせると、年間数十万円が自腹になるという。

こうした経費を引くと、手元に残る金額はそれほど多くない。

こうした特殊な事情から、研究日の「外勤」は、東京女子医大だけでなく、

大半の大学医学部でも認められてきた慣例だった。

経営側としてはコストを抑えながら、優秀な医師を確保するための苦肉の策ともいえる。



しかし、東京女子医大の経営陣はこの慣例を一方的に破った。

国が推進する「医師の働き方改革」に合わせて、今年3月末で廃止すると通知。

「外勤」をやめなければ給与を下げる、という方針を今年2月に打ち出したのである。

選択を迫られた結果、100人を超える医師が退職を決断したようだ。