シンガポール紙「ストレートタイムズ」は、新型コロナ禍の深刻化により,
今後東京五輪が中止されたケースを特集。その中で想定される日本側の賠償額に言及。
「国際オリンピック委員会(IOC)の総収入の4分の3は放映権によるものであり、
関係者によるとIOCは東京五輪で少なくとも15億米ドル(約1630億円)を受け取ると見積もっており、
これは大会がキャンセルされた場合に返済しなければならない金額となる」と報じた。
他にも日本側が契約しているスポンサー企業からの収入などもある。
新型コロナ禍という特殊な事情による中止となれば、IOC側はそう簡単に日本側に対して、
賠償を求めないとの見方もあるが、同紙はIOCが開催中止により、
収入の大部分を失えば組織存続の危機となるため、日本に請求してくるとみている。
契約条項に、直接的な賠償の文言は無いが、開催都市契約の87条に、
「本契約はスイス法に準拠する」と明記されている。IOCの膝元でもあるスイスの法律だ。
スイス民法第97条1項「義務を全く履行しなかった債務者は、
自分に過失がないことを証明できない限り、損害を賠償しなければならない」とある。
原則としては支払い義務を負うということだ。
一方で第119条1項「債務者に帰責事由(落ち度)がない状況により履行が不可能になった場合、
履行義務が消滅したとみなされる」とある。
つまり不可抗力の場合は支払いが免除されるということだ。
概ねよくある条文だが、では「コロナ禍によって中止にせざるを得ない状況」は、
日本の落ち度となるのか。
パンデミックは誰にも予測できない。
ならば、日本に支払い義務は生じないはずだ。
そして、昨年3月の時点で「中止」ではなく「延期」とした。
無論、五輪延期は日本側からの要請。
だとすれば、延期したのに中止となると解釈は変わってくるかもしれない。
IOCは開催することしか頭にない。
日本国民の命を守るのは誰なのか。
いずれにしろ、IOCから請求されれば、蛇に睨まれた蛙はそっと差し出すのだろう。