「誰が菅を支えてきた」怒りをぶちまけた二階幹事長。
8月30日午後、首相官邸を訪れた自民党の二階幹事長と林幹雄幹事長代理。
向き合った菅総理は「人事を刷新したいと思います」と告げた。
二階幹事長は、前政権から5年にわたり幹事長職に座り、その強権ぶりは党内からも反発を招いていた。
政権失速の危機に直面した菅総理は、二階幹事長を切り、自らの力を誇示しようとした。
二階幹事長は菅総理の通告に「どうぞ遠慮せずにやってください」と二つ返事で応じた。
菅総理は新たなポストを用意し、党本部に専用の部屋を作る案も伝えたという。
快諾を得たと受け止めた菅総理は「二階さんはすごい政治家だ」と、周囲に安堵の色を見せたという。
しかし、その直後に、菅総理解散説が内外を駆け巡る。
菅総理を幹事長時代から支え、総理になった時も全面的に後押しをした。
安倍前総理が退陣の意向を表明した時には、いち早く「菅支持」を打ち出した二階幹事長。
以来、政権内ににらみを利かせ、菅総理を立て、二人三脚でやってきた自負がある。
その俺を一言で切るとは、許されるはずもない。
二階幹事長切りは、数日前から噂が流れており、二階幹事長の耳にも入っていた。
安倍、麻生の入れ知恵との説もあるが、定かではない。
だから、菅総理に官邸に呼ばれた時には、感じていたから、素直に受け入れるそぶりをした。
しかし、幹事長職を固辞していた二階氏の腹の中は煮えくり返っていた。
菅総理の大きな誤算だ。二階幹事長が快く引き受けてくれ、
これでうまくいくと思った甘さが、菅総理崩壊の引き金となった。
菅総理、終わりの始まりの瞬間だ。
来るものは、前があろうが敵であろうが拒まない。
しかし、自分に刃向かう者は許さない、絶対に許さない。
あれほど長く付き合い、仲良くしてきた二階幹事長の胸の内が見えなかった。
私でさえ見えるのに、菅総理には、本来、人を見る目が無いのかも知れない。
菅総理は、31日夜、東京・赤坂の衆院議員宿舎で、二階幹事長に、
9月中旬の解散も選択肢として考えていると伝えた。
二階幹事長の目の奥が光った。
同深夜には「総裁選前に解散」が党内外を駆け巡り、翌日の朝刊の一面を飾った。
そこから、菅総理の反転攻勢が、一転、猛批判の嵐に直面。
党、重鎮からの強く反対する声が次から次へと。
人事権も解散権も行使できなくなった菅総理。
急転直下の嵐に、両腕を捥ぎ取られた菅総理の気力は失せた。
叩き上げの総理が、叩き潰されたと言うよりも、自滅した。