岸田新総理「聞く力」チーム安倍に逆戻り。
(日刊ゲンダイDIGITAL)
岸田新総裁の“女房役”となる官房長官に内定したのも、
最大派閥・細田派の事務総長を務める松野博一元文科相だ。
自派閥ではなく、安倍前首相の出身派閥の大幹部を迎える。
かつて安倍前首相が「細田派の四天王」と松野氏を持ち上げたこともある安倍側近だ。
さらには、官邸人事も“安倍カラー”に染められそうだという。
野党各党は、臨時国会で代表質問に加え、
衆参予算委員会での質疑を行ってから衆院選に臨むべきと主張しているが、無視。
岸田総裁は安倍前首相や麻生氏たちの要求を「聞く力」はあっても、
国民や野党の声を「聞く耳」は持っていないということだ。
‘@厚生労働大臣候補とされる後藤 茂之(65)は無派閥だが安倍前総理に近い。
安倍・麻生派、均等に配分され、二階派も執行部にはいなくなったが、前回同様2人入閣している。
ダマされてはいけない。
安倍・麻生体制が始まったのは2012年12月の自公連立政権の成立と同時であった。
以来2020年8月まで、「安倍・麻生」体制は続いていたが、安倍総理の辞意表明で、
「安倍・麻生」支配は弱まった。
この時政権を握ったのが菅義偉官房長官。
菅長官は二階俊博幹事長と森山裕国対委員長に協力を求め、権力を握った。
以来自民党政権の主導権は「菅・二階体制」に移った。
安倍・麻生は、二階幹事長が疎ましい。
そして、二階幹事長におもねった菅総理も快く思わなかった。
自民党内では安倍前総理と麻生大臣、甘利明税調会長の3人を中心に、半導体議連など、
二階幹事長が関わらない連の設立が相次いでいた。
河井夫婦の1億5千万円問題で、林幹雄幹事長代理は、
「当時(二階氏が)幹事長であったのは事実だが、実質的には当時の選対委員長が。
この広島に関しては担当していたわけで、そういった意味では細かいことは幹事長は良く分からないということだ」と説明。
河井氏を実質的に担当したのは選対委員長だった安倍総理盟友の甘利明氏だと述べた。
これに対して甘利会長は18日、国会内で「1ミリも、正確にいえば1ミクロンも関わっていない。
関与していない以前に、党から給付された事実を知らなかった」と自らの関与を否定した。
県連会長の岸田氏も同夜のBS情報番組で「送金に誰が関与したかではなく、金が何に使われたかだ。
論点をごちゃまぜにするとおかしなことになる」と二階氏や林氏の対応に苦言を呈した。
こうした状況に二階氏サイドも沈静化に乗り出さざるをえず、林代理は18日に甘利会長に電話で、
「他意はなかった」と陳謝した。
これで一件落着したかのように見えたが、甘利会長は怒り心頭。二階幹事長への怨念はさらに強まった。
8月26日に岸田議員は出馬表明した。そして、岸田議員は二階幹事長にケンカを売った。
自民党の役員任期を「1期1年で連続3期までにする」との公約を発表したのだ。
それで、岸田議員の人気もUPした。
これに驚いたのが菅総理。次期総理もやる気満々の菅総理は、好きにさせてなるものかと先手を打って、
.30日に二階幹事長と会談。菅総理の方から、人事刷新をしたいと話を切り出した。
それに対して、二階幹事長は「遠慮せずに人事をやってくれ」と受け入れた。
二階幹事長は「総理の思う通りに思い切ってやったらいい」ということも総理には伝えたと述べた。
また、二階幹事長は、幹事長としての任期が5年を超えた8月上旬ごろに、
「ちょうどいい区切りだ」と周囲に漏らしていたとの話もある。引き際だと思っていたのかもしれない。
菅総理では戦えないと実感していた安倍・麻生らは、岸田議員に、
「二階幹事長を降ろしたら総裁選の応援するよ」と、伝えた。
この時点で、すでに菅総理の芽は無かった。それを察した菅総理は先手を打って二階幹事長を退任させ、
解散に打って出ようとした。これを知った安倍・麻生両氏は怒り心頭。菅総理のイスは吹っ飛んだ。
麻生大臣は、河野大臣の総裁選出馬に反対だが、河野大臣は言い出したら聞かない。
麻生派の分裂を心配し、河野大臣出馬に対して消極的容認せざるを得なかった。
河野大臣も麻生派に所属しており、麻生大臣との決定的な決裂は望んでいない。
自民党総裁選の動きはめまぐるしく変化しているように見えたが、結果、安倍・麻生の思惑通りとなった。
当初から、甘利会長は幹事長の有力候補と言われていた。
麻生派でありながら逸早く岸田応援に手を上げ、岸田陣営の選対顧問を務め、
麻生派から河野票を引きはがすことに成功した。
今回の勝利で、麻生派を継げる可能性も高まり、甘利幹事長も総裁選で大きな財産を得た。
もう一つ忘れてはいけないのが、米国との関係。
米国政府とともに反中国姿勢を強める安倍・麻生体制。
近隣諸国との平和友好関係を重視する二階幹事長は米国には「敵」にみえる。
この二階幹事長と協調関係に立ち、対中国姿勢にあいまいな姿勢をとる菅総理も対象となっていた。
3A+Kの4人組の背後にみえるのは、米国政府。
さらに、甘利幹事長にとって大きな利を得ることになるのは自民党神奈川県連での立場だ。
神奈川県連では、これまで菅総理をトップとして、河野大臣、小泉大臣が世襲で引き継いだ、
盤石の地盤をバックに強い影響力を築いてきた。
今回、その主流派が軒並み河野支持でまとまったが、結果、地に伏したのだ。
これにより、神奈川県連では傍流だったはずの甘利幹事長が、一気に覇権を握る可能性が出てきた。
今回も神奈川の党員票では河野大臣が圧倒したが、敗れてしまったことで、
県連はこれからの対応に戸惑っている。
菅総理は弱体化し総理を退き、盟友だった小此木八郎氏は横浜市長選に敗北。
次期総裁に推した河野大臣も敗れ降格となれば、求心力が失われるのは必然。
この状態が続けば、甘利幹事長が菅前総理に代わって『神奈川のドン』として君臨することとなる。
元石破派の議員が大臣に、河野大臣を応援した議員も大臣に。
石破派、河野大臣潰しともとられ、昨日の敵は今日の友の采配ともとられ、
自身の派閥の、お疲れ様人事もあり、女性も執行部入れて5人、
良く練られた人事ではある。