(withnews)
共産党の志位和夫委員長(67)にYouTubeたかまつななチャンネルで聞きました。
――まず日本共産党は、どういうことを理念にした党ですか?
志位:社会主義、共産主義が理念です。
今、世界的にも貧富の格差がひどいじゃないですか。気候変動も大変な危機になっていますよね。
お金儲け第一、利潤第一では立ち行かなくなっている。
この社会を乗り越えて人類はもっと先に進むことができる。
社会主義、共産主義といっても、潰れてしまったソ連や今の中国みたいな自由もなければ民主主義もない、
人権もないという社会ではなくて、資本主義の下で、みんなの力で勝ち取った自由や民主主義、
人間の個性をみんな引き継いで豊かに花を開かせる社会を目指します。
――「共産主義」という言葉をちょっと怖いと思う人は少なくありません。
志位:共産主義社会の特徴は、全ての人間が自由で全面的に発展できることです。
みんなが自分の能力を活かせる。そのために一番大事なことは、労働時間をうんと短くする。
自由な時間でみんなが自己実現ができるということです。
マルクスもエンゲルスも若いころからそういう社会をどうしたら作れるかをずっと探求していた。
「共産党宣言」にある有名な言葉として、
「共産主義とは、各人の自由な発展が万人の自由な発展の条件になる」。
キーワードは「自由」なんですよ。自由に発展する社会ですから、僕は好きになりました。
――日本共産党が国会で最も多く議席を占めたら、社会はどう変わるんですか?
志位:いっぺんに社会主義・共産主義を作ろうと考えているわけじゃないんですね。
今の日本には大きな歪みが二つあります。ひとつはあまりにひどい「アメリカ言いなり」。
例えば沖縄の米軍基地新規建設の問題。アメリカ言いなりを正して、本当の独立国と言える日本を作る。
もうひとつは、財界の身勝手という問題。例えば長時間労働、過密労働、非正規雇用。
本当に働く人を使い捨てにする。こういうまともなルールがない社会をきちんと正していく。
この二つの歪みを正して民主主義の徹底した日本を作る、民主主義革命と私たちは呼んでいますが、
それが当面の目標です。
――社会主義や共産主義では、貧富の差はなくなっていくと思いますが、
志位:大企業からお金を取ると起業するマインドとか競争力が失われるんじゃないかと思います。
大企業を潰したりすることは考えていません。大企業は大きな社会的な力を持っていますから、
それにふさわしい社会的な責任を果たしてもらうという考えなんですね。
税金はもちろん応分の負担をしてもらうけれども、競争力がなくなるというのは神話だと思います。
――自衛隊をなくして防衛費を削っていくと訴えていますよね。
志位:私たちは自衛隊を今すぐなくすとは考えていないんです。
自衛隊と憲法9条はどうしても矛盾してきますから、9条という理想に向かって、
自衛隊の現実を一段一段変えて、ゆくゆくは国民の合意で9条の全面実施をすることを考えています。
――自衛隊がなくなると、中国の脅威が高まりませんか?
志位:中国については、向こうが力づくでやってきたからといって、こちらも力づくでやろうというのは一番危ない。
そうではなくて外交の力で中国の横暴を抑えていくことが重要です。
いま中国に対して一番欠けているのは、国際法に基づく批判です。
東シナ海や南シナ海も、国際法違反だと共産党はずっと批判し続けてきました。
香港やウイグルについても、あのような人権抑圧は国連憲章だけではなく、世
界人権宣言、国際人権規約、中国も賛成した国際規範にも反しているときちん批判する必要があります。
――野党共闘についてお伺いします。安倍政権のときの不祥事については解決してほしいと思うが。
志位:9月8日に野党4党と市民連合の皆さんと総選挙に向けての共通政策を確認しました。
・まず安保法制を止めること。集団的自衛権を行使できるようにしてしまったのは、
海外で戦争する国への道ですよね。これを止めようというのが第一項目に入っています。
・政府が拒否している核兵器禁止条約の批准を目指すこと。被爆国として当然だろうということです。
・辺野古新基地を中止すること。
沖縄県民の皆さんが何度も総意を示しているのに相変わらずやめようとしない。これはきちんとやめようと。
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の準備を迅速に進めること。
医療費削減をやってきて、お医者さんの数を抑えて保健所も半分にしてしまった。
それが今の医療崩壊を作っている。だからこれを切り替えて、医療や公衆衛生をきちんと重視します。
・消費税減税を行い、富裕層の負担を強化する。
今大儲けしている富裕層や大企業に税金を払ってもらって、消費税を減税する。
世界ではかなりやっていますよね。それを日本でもやろうと。
・石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素世界を追求する。
・ジェンダーの問題では選択的夫婦別姓制度。女性に対する性暴力の根絶に向けた法整備。
ジェンダー平等に向けた指針です。
・最後に、権力私物化の、森友・加計学園問題、桜を見る会問題についてもきちんと言い続けていく。
こうした大転換の方向を、野党で確認しました。
――共産党がすごいと思うのは、森友とか桜に関する質問について、共産党がリードしてきたことです。
赤旗は政党の機関紙ですけれど、ジャーナリズムとしてもすごいと思います。
志位:桜を見る会については、共産党や赤旗が特別に情報を持っていたわけではないんですね。
でも、おかしいぞという批判精神があった。
今、メディアも政府側、体制側に巻き込まれてしまって批判精神がなくなっている。
赤旗は権力の監視、批判精神を持っていたことが大きいんじゃないでしょうか。
取材についても現地の地方議員さん、党組織の皆さんと協力してやります。
現地取材がどんどんできるというのは、政党の機関紙の強みでもあると思います。
‘@政党名に関してとやかく言うことは失礼だが、共産主義社会=自由で民主主義と言うのなら、
せめて、新を付けて、新共産党と名乗ってみるのも一考では。
貧富の格差や気候変動を真っ先に持ってくるところは、政界の潮流を知ってのこと。
しかし、中国問題は話し合いでは解決しない。
日米間も同様、同盟が無くなれば大変なことになる。
同盟の中で模索した方が良い。
発言していることのほとんどは多くの国民も賛同する内容だ。