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​新型コロナ「高齢者は感染して死んでも仕方ないのか」

新型コロナは風邪みたいなものだと主張し「5類相当にせよ」と言うのは、

「どうせ感染しても軽症ですむのだから、行動制限なんか止めてくれ」ということだ。




行動制限が収入や生活の圧迫に直結している業界にとっては、仕方のない主張であるかもしれない。

新型コロナの場合、重症化、死亡化する層と、そうでない層のギャップが大きい。

そうでない層に不満感が残るの。

少数のために、大多数が苦労しなければならないのは、割りに合わない。

しかし、そういう「行動制限」を取ってしまった国々がどういうことになったのかは、

世界を見渡せば、そう簡単でないことは明らかだ。

もっとも痛い目にあったのはアメリカ合衆国

アメリカはトランプ大統領時に、新型コロナを軽視し、行動制限も不十分なままだった。

患者が激増しても「重症者、死亡者は増えていない。アメリカでコロナが多いのは、

ちゃんとした検査体制の賜物だ」と、トランプ大統領は誇らしげに吠えた。



新型コロナの重症者、死亡者は時間のズレをもって生じてくる。

結局、アメリカは新型コロナでもっとも死者を出した国になってしまった。

アメリカでのコロナ死亡者は86万人以上。人口100万人あたりの死亡者数でも2500人以上と、

大量の死者が発生してしまった。

2020年の米国での死因第3位が新型コロナだ。

それは外国の話で、日本ではそんなに死んではいないという主張も根強い。

しかし、症例あたりの死亡率でみると、アメリカも日本もそう大差はない。

86万と1万8千人超という死亡者の違いはリスクではなく、単純に死者数なのだ。

アメリカは感染激増を看過し、日本はそうしなかった。その違いが決定的に両国の違いを生み出したのである。



感染者を増やすのはウイルスの属性と、社会における人の行動によって決まる。

感染者が増える、減るは社会において発生する現象だ。

ウイルスの属性「そのもの」を変えることはできない。

その国の対策や人の行動によって決まるのだ。

当初は、どのような社会活動の制限がコロナの増減に大きく寄与するか、よく分からなかった。

だから、第一波あたりでは、ほとんどの社会活動を大きく抑制するしか方法がなかった。

しかし、その後、「これをやっても感染はそう増えない」ということが少しずつ見え始めた。

条件の検証を可能にしたのは科学的知見であり、その判断をもたらしたのは多くの専門家だ。

​その検証に基づいて活動が再開された。


  (昨日まで元気だった)

オミクロン株は感染しても軽症で済むという判断がある。

それでも、社会における行動制限を全部無くすというのはリスクが大きすぎる。

いまのところ、重症者や死亡率は下がったが、感染者数が急激に増加すると、

分母が巨大になり、重症者や死亡率も当然高くなる。

海外での死亡率はインフルエンザの約10倍になっている。

第5派では、感染者数が増えすぎて、医療機関を受診できない、自宅待機のままの患者が重症化、死亡した。

これは、とうてい許容できない大きな問題であり、悲惨な出来事であるはずだが、

もう忘れてしまったのか。

自分がそういう目に合っていないからなのだろうか。



英国では、ワクチン3回目の「ブースター」接種は推し進めているが、

オミクロン株封じ込め対策をあえて徹底しないという戦略が選択された。

これはボリス・ジョンソン首相の意向でもあり、覚悟でもある。

ジョンソン首相自ら、新型コロナ禍パーティーを開いて物議をかもしている。

さすがにやり過ぎたのか、国民からも非難を浴び、進退問題にまで発展している。

英国は新型コロナに対して、何度も挑戦的な対応策を取り、その都度失敗して方向転換を余儀なくされてきた。

それでも、封じ込め対策をあえて徹底しないという戦略をとる。

現在、英国では毎日100人かそれ以上の新型コロナ死亡者が出ている。

英国人口は日本の約半分だから、日本でいえば毎日200人ペースだ。

英国は2020年、21年と新型コロナで大打撃を受け、ときに1日1000人以上の死者を出していた。

高齢者などは死んでも仕方ないという考え方もあるのかもしれないが、

看過してよいかといえば、私には到底看過できない数字に見える。

新型コロナ対策において、「社会活動制限をしないやり方」「コロナを風邪のように扱うやり方」は、

どう考えても無理筋だ。

だから、何度も方針転換をしたのだ。



オミクロン株と今後どう向き合っていくのか。

多くの人が軽症で済むのなら、社会活動の制限をしないという選択肢の垣根は下げるべきだ。

ただ、まだ、オミクロン株に関して、専門家でも分からないことがある。

もう少し(14日程度)様子を見てからでも遅くない気がする。

行動制限派がムキになっているというが、私には「新型コロナを風邪のように」派が、

「制限するな」とムキになっているように見える。

インフルエンザも、もう少し気を付けて感染対策をしていれば、今まで死ななくて済んだ人が多数いた。

それが、今回の新型コロナ禍露呈したのに、だれも、全く触れない不都合な真実

高齢者は死んでも仕方ないと思っている人が多数(ほとんど)を占めているということだ。

悍ましい。

大阪と静岡でオミクロン株に感染したとみられる2人が死亡。

(合掌)