北海道の鈴木直道知事は15日、緊急事態宣言発令に伴う道内の感染対策について、
「対象は道内全域となるが、面積が広く感染状況も一様ではない」などとし、
感染者数の多い区域で人流抑制を柱とする重点対策を進めていく考えを示した。
感染者の多い札幌市や旭川市など10市町村を特定措置区域とし、
このほかの市町村は措置区域に位置づけて対策を行うことを正式に決定。
鈴木知事は会合後の記者会見で「当たり前に受けられていた医療が受けら
れなくなる」と、
道内の医療提供体制が危機的な状況にあると指摘。
早期に感染拡大を押さえ込むには、人流抑制が不可欠として、
16日から31日までの期間中は道内全域で外出自粛を進めていくとした。
緊急事態宣言が発令されることについては、
「知事として重く受け止めている。この難局に全力で立ち向かい、
道民の暮らしと命を守るために協力をお願いしたい」と道民に呼びかけた。
‘@札幌市の秋元克広市長は4月1日の臨時記者会見で、
「現在は感染が急速拡大した昨年10月下旬の水準。危機感を持っている」と述べ、
「入院者数の急増、重症者の増加には変異株の影響が強く出ている」と、
変異株の危機感を述べ、注意を促した。
5月2日、秋元市長は「札幌市はまさに医療の非常事態。
『まん延防止等重点措置』の適用について国との協議を(道に)加速化して頂くようにしていきたい」
と鈴木知事に訴えた。
鈴木知事は3日、秋元市長と「まん延防止等重点措置」の適用を国に要請する方針で一致。
5日にも要請する考えを明らかにした。
その5日、市民マラソンは中止したにもかかわらず、
五輪のマラソン競技のテストイベント「北海道・札幌マラソンフェスティバル」を実施。
沿道には「五輪中止」のプラカードを掲げる人物も見られた。
5日まではマラソンテストがあるので重点措置を要請しないあからさまな対応だ。
市内の飲食店には4月27日~5月11日、午後9時までの、
営業時間の短縮要請が北海道から出されている。
その後、感染拡大は収まらず、16日から「緊急事態宣言」が出されることになった。
国や自治体の都合で、道民が苦しみ殺される事例だ。
森泰夫・組織委大会運営局次長は「運営準備に非常に重要」と説明。
道民の命よりも「北海道・札幌マラソンフェスティバル」の方が重要なのだ。
そして、五輪マラソンで沿道での観戦がどうなるかは決まっていない。
秋元市長は28日の記者会見で、「観客をどのようにするのかという基本的な考え方のもとに、
感染対策が出てこなければいけないので、その部分は今回はテストできない」と懸念を示した。
コース沿いのカフェの店長は、時短要請に応じて午後9時に閉店している。
「せっかくコロナを抑え込もうとしても、その結果が見えないうちにテスト大会をしたら意味がない」。
ススキノの菓子店の女性も「こんなに感染者が増えているのに、強行する理由がわからない」と憤る。
五輪に向けた工事が進む大通公園を訪れた会社員の女性は、
「コロナに振り回されて、五輪に関心がある人がどんどん減っている感じがする。
世界から手放しで応援してもらえない時に五輪をやっても、選手が気の毒」と嘆いた。