新形コロナ禍、ワクチン接種をはじめとするさまざまな施策を進める中で、
世界中から注目が集めたのが台湾のシステム。
それを主導したのが、台湾のデジタル担当であるオードリー・タン大臣。
そのタン大臣は日本人のために「デジタルとITは別物」と説明。
オードリー・タン(Audrey Tang 唐鳳)
執筆:近藤弥生子
唐鳳:我所看待的自由與未來 台湾版 アイリス・チュウ, 鄭仲嵐 Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔
(一部抜粋)
「IT(Information Technology、情報技術)」とは機械と機械をつなぐものであり、
「デジタル(Digital)」とは人と人をつなぐものです。
この説明は、実は日本の皆さんのために作りました。
私は2016年から台湾で「デジタル担当大臣」をしていますが、日本で私のことが報道される時、
「IT大臣」と記載されることが多かったので、その違いを説明したいと思ったのです。
「IT」だと2文字で済みますので、もしかしたら文字数が短く済むという理由からかもしれませんが、
私にとってその意味はまったく異なるものなのです。
デジタル化は決してデジタル単独で進むのではなく、
その向こうには私たち人間がいるのだということです。
その先にいる人が機械に置き換えられたり、すべての経緯が機械によって代替されてしまうのであれば、
それはデジタル担当大臣である私の職務ではありません。
ITの強みを活かしながら、デジタル領域を推進しているのです。
例を挙げましょう。台湾には日本の厚生労働省に相当する「衛生福利部」の、
「中央感染症指揮センター(原名:疾病管制署)」が管轄する「1922」という、
感染症相談専門ダイヤルが2004年から設置されていて、
コロナ禍でも不安があれば24時間365日いつでも電話できるようになっています。
市民がここへ電話をかけると、誰かが電話を取って、感染症対策について相談にのってくれます。
これは、人と人のつながりですよね。
でも専用ダイヤルに電話しても、つながるのが人ではなく、録音された音声だったらどうでしょう。
「問い合わせてきた人が求める答えはきっとこれだろう」という形で自動的に情報が返されるような場合です。
これは機械とのつながりであるといえます。
つまり、私にとってのデジタルとは、“その先にいるのが人である”ということを意味します。
‘@1月、海底火山の噴火によって世界各地で津波が起きた。
その中心、トンガは最大15メートルの津波に襲われたが死者は3人だった。
トンガを救ったのは、島の高台にある避難者のテントへと続く一本の道。
東日本大震災の教訓で作られた「津波ドリル」という避難訓練でできた道だ。
東日本大震災の後、トンガは日本に職員を派遣して「とにかく、すぐに逃げること」を学んだ。
島民は、津波が襲った日、この道を逃げた。
トンガでは、何度も『津波ドリル』を実施し、避難のための様々な訓練を行っていた。
いました」
島民は「あの日、防災無線は鳴らなかった。
前もって避難経路を決めていなければ、誰も助からなかったと話す。
なぜ、日本は、成功しているところに学ばないのか。
なぜ、失敗している自治体の長ばかりが目立っているのか。
だから、いつまでも改善されないのだ。
感謝、オードリー・タン大臣。