まず、具体的に気をつけたいのは、ロシアを悪魔化しないということである。
モスクワを占領し、ロシアを全面降伏に追い込むまで、核戦争も辞さない――、
というならば話はべつだが、この戦争はどこかで和平しなければならない。
そのとき、ロシアを悪魔化していると交渉や妥協ができない。悪魔は殲滅するしかないからだ。
これは、第三国が仲介をするばあいにも当てはまる。
ロシアが侵略戦争をしかけた加害者なのは自明なものの、かれらも同じ人間であり、
コミュニケーション可能であるという点を忘れてはならない。
また、ロシア側に正義はないとしても、「正義と思い込んでいるもの」はある。
いかに納得できなくても、その理屈を理解できなければ、うまく話し合いもできない。
それゆえ狂人扱いも慎まなければならない。
それは裏を返せば、ウクライナを完全無欠な正義として扱ってはならないということを意味する。
いかに被害者だからといって、戦時下の国家のことなのだから、
自分たちに都合のいい情報発信もすれば、第三国の国民を過剰に煽ったりもするだろう。
それなのに、完全無欠な正義だと思い込むと、思わぬ反動も起こりうる。
たとえば、正義と信じていたがゆえに、少しでも瑕疵が見つかると、「裏切られた!」となりかねない。
場合によっては、「こっちが正義だ」とロシア側が発信する陰謀論に乗り込まれることも考えられる。
戦時下特有の、二者択一思想が危険なゆえんである。
神ならぬ人間の社会では、めったに完全な白や完全な黒はない。
ただ、灰色がグラデーションになっているのであって、われわれはそのなかで、
適当なものをその都度、選んでいくしかない。
そのうえで、今回は明らかにウクライナ側に理があるということだ。
したがって筆者は、ゼレンスキー大統領の振る舞いを批判したいのではない。
侵略された国の指導者が、祖国の危難を救うために、あの手この手を尽くすのは当然であって、
むしろ讃えられるべきこと。
そこに多少の誇張や誤解などが含まれていても仕方がない。
(アメリカでのオンライン演説における、真珠湾攻撃への言及もそのひとつ)。
問題なのは、それを受け止める日本人のほうである。
戦時中の情報発言はなにかと刺激的なものも多いので、二者択一に陥らず、一呼吸おくべきなのだ。
戦時下は中間を奪う。味方にあらずんば敵。同胞がつぎつぎと倒れ、誰もが必死ななかで、
Aでもないが、Bというわけでもないといった、多様性は抹殺される。
現在、ロシアに侵略されて辛酸をなめている、ウクライナ政府や国民がそのような状態に陥るのはやむをえない。
だが、日本は交戦国ではない。いまいちど繰り返すが、いかにウクライナを支援するべきだとしても、
感情的な動員に巻き込まれてはならない。
今回ふしぎに思うのは、これまで政権のプロパガンダに警戒的で、
多様性を重んじてきたはずの「リベラルな」日本人の振る舞いだ。
安倍政権についてはあれだけ「戦前回帰」と騒いでいたのに、
みずからの内なる「戦前回帰」にはあまりに鈍感ではないか。
そもそもここ最近発生した戦争に臨んで、ここまでの感情的になったのか。
胸に手を当て、イラク戦争やシリア内戦などのことを思い出してほしい。
今回の、少なくとも一部の反応は、ただSNSで流れてくる情報に幻惑されているだけではないのか。
日本人は今般の情報戦たる「SNS戦争」に乗る必要はない。ことは、芸能人の不倫騒動ではなく、
複雑な利害が絡み合う国際政治の問題に属する。ゆえにかかる一呼吸をおく態度は、
もとより「どっちもどっち論」ではないのである。
近現代史研究者、辻田真佐憲(38)
‘@橋下専制と同じゴチャ混ぜの論理にもならない暴言。
核の脅威はウクライナの目の前にある。
生物兵器の驚異もある。何をのんきなことを述べているのか。
思い込みを覆すのはハッキリ言って無理だ。
思い込みを覆そうとして争いになることは多数ある。
コミュニケーションが可能なら、いきなり侵略などしない。
勝手に攻め込んできて戦時下にしたのはロシア、プーチンだ。
こういう論理をして、被害者を貶めるようなことが良くできる。
それこそ、悪魔の行為だ。
イジメられている方も悪い。いまだ、日本からも無くならない論理。
成功した強い人に多い考えだ。
だれも、戦争をしろなどとは言っていない。
戦争反対だから、プーチンを非難している。
いきなり攻められた人たちが国を守る行為を理解しているだけだ。
それは、ウクライナにではなくプーチンに発するべきだ。
いきなり攻撃を受け、殺されている、殺されかけている人たちに、更に言葉の暴力を放つ。
信じられない行為だ。
殺されかけている時に適当に何を選ぶのか。
平和な世界の話を有事の世界に持ち込んでも成り立たない。
SNSから流れてくる映像は現在起きている事実だ。
それを幻惑と逃げること自体、明日の日本を考えていない。
所詮机上の空論に過ぎない。
お坊ちゃまの、譫言だ。
辻田氏は人間の社会では、めったに完全な白や完全な黒はないと言う。
いきなり殴られても強盗に入られても、女性が屈辱を受けても、受けた方も悪いということだ。
彼らの論理と同じだ。
橋下や玉川、杉村太蔵、テリー、太田光、武井壮、本田圭佑などは、
自宅に強盗が入り、家族が殺されても、
犯人に、あなたにも正義がある、あなたの気持ちも分かると言うのだろう。
悟りを開いた一太刀だ。
彼らの言動はウクライナ人を貶める言動だということは認識すべきだ。
そしてプーチンを喜ばせる。