マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」の利用が低迷している。
カード読み取り機を導入した全国の医療機関・薬局約4万施設で、
今年4月中に従来の保険証は約3400万回使われた一方、マイナ保険証は約20万回しか使われなかった。
そもそもカード自体を取得している国民が約4割にとどまっているのに加え、
患者にとってメリットを感じられる仕組みになっていないのが原因のようだ。
医療現場でも「手間が増えただけで、投資に見合う効果は感じられない」と、困惑している。
読み取り機にエラーが出たり、患者が使い方を間違えたりするたびに、
職員が駆け付けて対応しなければならない。
診療報酬加算についても、政府が「患者に負担させるのはおかしい」との批判を受ける。
医療政策が専門の馬場園明・九州大大学院教授は、
データが正しく利活用されれば「個人の健康向上だけでなく、
持続可能な社会保障制度を確立する切り札となり得る」と見る。
(いきなり出て来た負担増)
ただ、情報漏れへの国民の不安感は根強い。
スウェーデンでは政府による情報管理を国民が受け入れ、高福祉社会を実現している。
「政府も目先のメリットばかりを強調せず、本来の目的や将来の構想を、
言葉を尽くして説明すべきだ」と指摘。