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​マイナ保険証「河野宣言」に世論反発。

「デジタル社会のパスポート」と政府が喧伝するマイナンバーカードを国民に行き渡らせるため、

河野大臣が勇んで打ち上げた「マイナ保険証」の義務化宣言に、早くも暗雲が漂い始めている。

河野大臣は10月13日、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、

マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えると発表。

すべての国民にカードの取得を「強制」することを意味するが、カードの取得は法的に「任意」。

河野大臣は保険証を「人質」にとって、強権的にマイナンバーカードを取得させると宣言したのだ。



「期限」も24年秋と区切った。

だが、その後「マイナカードが無くても受診出来る」と、政府は慌てて付け足した。

わずか10日ばかり後の24日岸田総理は、衆院予算委員会で、

24年秋の健康保険証の廃止後に「マイナンバーカードを持たない人でも受診できるように、

保険証に代わる制度を作る」と明言。

質問した立憲民主党後藤祐一議員は「だったら、保険証を残せばいいじゃないですか。ばかばかしい」と、あきれ顔。

保険証をマイナカードと一体化させねばならない強い理由が見えない。

河野大臣の「暴走力」で、カードの取得を「強制」する方策として保険証の廃止を打ち出したことがよくわかる。

肝心の医療現場でも、次々に反発する声が広がった。

日本医師会の松本吉郎会長は「医療現場で、負担や混乱が生じる可能性がある」と懸念を表明。

開業医が中心の全国保険医団体連合会は、「河野発言」を批判する声明を発表。



「政府は、マイナンバーカードを普及させたいがために、患者・国民、医療現場にいたずらに混乱を持ち込んでいる」

「患者・国民は使い慣れた保険証をわざわざ廃止してマイナンバーカードに一本化してほしいなどとは求めていない」

国労働組合総連合(全労連)は、ネット上で反対の署名活動を展開、すでに10万筆を超える署名が集まり、

12月に関係省庁へ提出する予定。

島根県で実施されたアンケートでは、「保険証の原則廃止」に6割の医師が「反対」で、

「賛成」は9%に過ぎなかったという。

小規模な医院や薬局では、「非現実的」「マイナ保険証に対応できないので閉院するしかない」といった悲痛な声が。

「マイナ保険証」の利用はたった3%。

マイナンバーカードは、16年1月に交付が始まってから6年余りが経つ。

総務省は10月19日、カードの交付枚数が6305万枚となり、人口に占める割合が5割を超えたと発表。

だが、交付率が進んだのは、カードを取得するともらえる「マイナポイント」の誘因策によるところが大きい。

実際、カード利用のメリットを実感する場面は少ない。

コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書を取得したり、

確定申告の電子申請サービスを利用できる程度しか使い道がないのが実情。

少々の「アメ」を目当てにカードを取得した人は少なくないが、

2万円程度の給付に踊らされない人が半分もいるというのも現実。



「任意取得」が基本の「マイナンバー制度」の原則を無視した「河野宣言」は、反発の流れをつくり、

国民を裏切るかのような「マイナ保険証」の強制推進は国民の更なる不信を生んだ。

政府関係者は「現行の保険証と『マイナ保険証』を選択できる形にしておけば、これほどの反発はなかった」と愚痴る。

河野大臣は、国民への丁寧な説明を怠り、省庁間でも十分な調整をせずに、

いつも通りの持ち前の「突破力」だけで突き進んだ。

期待された「突破力」には危険が伴い想定外の「暴走力」になってしまった。

だが、河野大臣は意に介さないから強い。