「使いやすさ」と「消費電力の抑制」
新型コロナの感染拡大を受けて理化学研究所のスーパーコンピューター富岳の運用が1年前倒しで始まった。
新型コロナと戦うため急きょ研究者に提供を開始した富岳だが、
2020年7月に早速、京都大学の研究チームが治療薬の候補物質を発見するなど成果を上げている。
富岳は「世界一のスーパーコンピューター」として華々しくデビューした。
開発プロジェクトを率いたのはソフトウエアの研究者である石川裕氏。
京の100倍の実行性能を達成する一方で貫いた理想があった。
日本のコンピュータ科学者によれば、中国が開発したスパコンは高速だが、とても使い難い、
それは「Summit」のような米国のスパコンでも同じだ。両者は同じくらい使うのが難しい。
スパコン開発は今、次世代のエクサ・スケール(毎秒一〇〇京回の科学技術計算を行う能力)へと進んでいる。
富岳の消費電力は約二八メガ・ワットですが、仮にこれと同じ技術でエクサ・スケールスパコンを作るとすれば、
その消費電力は二〇〇メガ・ワットにも達してしまう。
ちなみに一メガ・ワットの電力消費量をお金に換算すると年間約一〇〇万ドル(約一億円)になります。
つまり二〇〇メガワットのスパコンは年間約二億ドル(約二〇〇億円)の電気料金を請求されることになる。
現実的ではない。
だから、是が非でも消費電力を抑える必要がある。