ウクライナ危機を経てロシアとの関係が悪化したドイツ。
同国を含め、ユーロ圏全体がいま深刻なエネルギー危機に見舞われている。
エネルギー価格高騰が後押しするインフレは、もはや一過性などと言っていられる状態ではない。
ユーロ圏の経済・金融に強い制約を与えている。
それだけ緊迫した状況があるなか、ユーロ圏のエネルギー事情をいま以上に悪化させる材料が浮上。
ライン川の水位低下だ。
ドイツにとって物資流通の要と言えるライン川。
欧州で最も重要な河川の一つであるライン川の水位が低下。
フランクフルトの西にあるカウプでは12日に水位が40センチメートルを割り込み、
15日には33センチに落ち込むと予測されている。
ここまで水位が下がると、バージ(はしけ船)による多くの運搬は利益が出なくなる。
コンサルティング会社ファクツ・グローバル・エナジーは、10日付のリポートで、
「ライン川が使えなくなれば、日量40万バレルの石油製品取引に障害が生じる恐れがある」と指摘。
過去のデータを見る限り、水位には秋口(9~10月)にかけて低下する季節性が見られるため、
今後航行不能に陥る展開は十分にあり得る。
ドイツが輸入する石炭の大部分はロッテルダム経由でライン川を水上輸送されているため、
航行不能が現実に起これば、エネルギーの供給制約が強まる可能性がある。
ライン川の航行に支障が出て石炭の入手が困難になれば、当然、火力発電にも頼れなくなる。
欧州エネルギーは更なる危機を迎えることになる。