わたしが宗教に関して私見を述べていた解の一つがここにある。
矢澤氏が『月刊住職』を創刊したのは1974年
『月刊住職』編集長・矢澤澄道(やざわ・ちょうどう)氏。
自身も神奈川県横浜市で寺院を営む、現役の寺院住職編集長。
感染拡大を恐れて葬祭の機会が減り、仏事が敬遠される現在、
寺院もひとつの事業体としてコロナ禍に直面している。
「もともと、日本のお寺は貧乏なんですよ」と、矢澤氏は語り出す。
「日本の戦後の仏教寺院は、国からの公的支援を受けないで自立し、
しかも市民にあまり負担をかけない中でやってきた、世界にも類のない宗教組織。
著名な経済学者も、特異な例として取り上げているくらいです。
日本人の家計調査でも、消費支出における宗教費の割合はここ数十年、1.4パーセントほど。
世界的には10%以上の国も多いのに、ですよ。だから、基本的には常に経済事情が苦しいわけです。
現在、日本の寺院住職の数はおよそ6万人ですが、
お金持ちになりたいとか、豊かな生活を送りたいなんて思っている人は、ほとんどいないでしょうね。
もしそうであったら、別の仕事をやりますよ(笑)。企業ではないし、成長産業でもありませんから」
「僧侶だって、コロナは恐ろしい。でも、マスクをつける、つけないひとつをとっても、
『お釈迦さまならどうするだろう?』という自問自答が、僧侶には起こります。
お釈迦さまだって、おそらく迷っただろうと思いますね。
それでも、目の前に困っている人がいたら、とにかくいちばん近くにいる人から助けるというのが仏教の教え。
ですから、常に迷いや不安を抱きながらも、住職は寺門を開き、人助けを行う。
人の心が少しでも休まるようにと日々、祈るんです」
‘@大きな建物を沢山建てて、裕福な生活をしている宗教をわたしは信じない。