山上容疑者の「殺害動機を難しくする」意図は。
安倍晋三氏を選挙の応援演説中に銃殺し逮捕された無職山上徹也容疑者(41)。
6月30日に「人生、マイナスからのスタートをどうにか0に戻すのに必死になってるだけという感覚がある」
(@fmn_fq)という投稿を最後にリツイートした。
山上容疑者は母親が旧統一教会に入信したことで貧しく悲惨な幼少期を過ごし、
母の愛を受けられず、兄を自死で失った。
山上容疑者は絶望し、復讐を決意。
復讐は憤怒と敵意を再生産すると言うが、山上容疑者の行為は単一で終焉するだろう。
そして、山上容疑者のテロは政教分離の緊張感の弛緩を白日の下にさらしたとも言うが、
そんなオーバーなものでは無い。
宗教ではなく、悪徳団体にコントロールされ一家が崩壊し、人生を破壊されたのだ。
宗教と結びつけるべきではない。
また、テロではなく山上容疑者の個人的な恨みだ。
正直、テロでも一般的な殺害でもどちらでもいいのだが、テロに一応の定義がある限りテロではないということだ。
どうしても、テロと位置付けたい向きがいるようだ。
テロと位置付けることにより、安倍氏を尊びたいのだろう。
山上容疑者の凶弾は、政治の油断を撃った分けでも、政治と宗教の相互尊重を壊した分けでも、
寛容の精神が支える民主政の土台を切り崩した分けでもない。
単なる怨みの行為だ。
元総理が現役議員で殺害された衝撃は大きいが、言ってしまえばそれだけだ。
山上容疑者は21年4月24日、「最近の不運と不調の原因が分かった気がする。
当然のように信頼していた者の重大な裏切り。
この1ヶ月、それに気付かず断崖に向けてひた走っていた。そういう事か」
「こういう裏切りは初めてではない。25年前、今に至る人生を歪ませた決定的な裏切りに学ぶなら、
これは序の口だろう。オレも人を裏切らなかったとは言わない。
だが全ての原因は25年前だと言わせてもらう。なぁ、統一教会よ」と記す。
山上容疑者は4月、安倍氏の「ビデオメッセージ」を見たのだ。
この安倍氏の姿を見て、「殺すしかない」と暗殺の決意を固めたと供述している。
山上容疑者は「トップとの接触は難しく、動画を見て安倍氏と団体につながりがあると思い、
絶対に殺さなければいけないと確信した」と供述している。
当初は爆弾を作ろうとしたが、標的を絞りやすい銃に変えたといい、
「爆弾は関係がない人まで死ぬからやめた」とも述べている。
安倍氏殺害までの行動を見ても、わたしには冷静に見える。
わたしに言わせれば、少しも難しい話では無い。
積年の恨みを晴らしたいが、晴らす相手に隙が無いので、関連した一番影響力のある人物狙った。
安倍氏に山上容疑者も親派を持っていたが、統一教会を賛辞するビデオメッセージを見て、裏切られたと強く感じた。
安倍氏が直接的に悪い分けではないが、山上容疑者にしてみれば、
長年の憎き相手を称賛する国のトップであった人間、それも自身もそれなりに認めていた人間が、
憎き相手を賛辞するメッセージを送っている。
怒りの矛先は安倍氏に集中したのだ。
裏があると読む人もいるが、ここまでの流れを見ても警察の捜査状況を見ても、裏があるとは思えない。
根拠のない陰謀説は全て妄想。
山上容疑者の鑑定留置は11月29日まである。
長期間にわたる鑑定留置の内容は一切聞こえて来ない。
中で何がなされているのか。
何か薬を処方されているのか。
連日、調教はされていないか。
精神状態も心配だ。
法廷で彼は何を語るのか、本心を語れるのだろうか。