流出 国目標の最大222倍。
神奈川県内の横須賀・厚木在日米軍基地で、
発がん性も指摘される有機フッ素化合物「PFOS」と「PFOA」の流出が5月以降、相次いでいる。
体内に蓄積すると、がんの発症や胎児異常などを引き起こすおそれがある。
発端は5月4日、米海軍横須賀基地の東側にある排水処理場で、
「特異な泡」が排水処理業者によって発見されたことだ。
米軍側が5月9日と7月6日に処理場から出てくる汚水を採取すると、
PFOSとPFOAの合算値は、いずれも国の暫定目標値の2倍を検出。
有害物質を吸着するフィルター設置などの対策を約束した。
ところが、8月に採取したサンプル調査の結果では、処理場の生活排水の出口から、
暫定目標値の172倍、産業排水の出口で109倍とこれまでをはるかに上回る数値を検出。
さらに、米海軍は6日の上地市長との面会の際、公表されていなかった生活排水の入り口で、
新たに222倍検出されたことを明らかにした。
横須賀市の在日米海軍司令部で6日、司令官のカール・ラティ少将らと面会した、
上地克明市長は「極めて遺憾。厳重に抗議する」と強い口調で不満をあらわにした。
面会後の取材にも「ここまで信頼が揺らいだのは初めて」と述べた。
ラティ少尉は「不安な気持ちを抱かせ申し訳ない」と謝罪。
「特異な泡」が発見されてから5カ月経っても検出され続けており、原因も分かっていない。
処理水は東京湾に排水されているが、市の排水停止の要求に、
米海軍側は「基地住民の移転が必要になるので不可能」と拒否している。
県などは6日、環境補足協定に基づき、県内では初めてとなる米海軍厚木基地を立ち入り調査をした。
ただ米軍側からは原因や流出量などついては説明がなかったうえ、
県などが求めていた発生元とみられる格納庫の現場確認は許可されず、原因の特定には至っていない。
横須賀市の上地市長は防衛相に立ち入り調査を求めている。
ラティ少尉は6日、面会した横須賀市の上地市長に対し、
「立ち入り調査については日米両政府で実現できるよう努力したい」と説明するが一向に進まない。
日本政府の弱腰と、米軍の非協力的対応は日本国民を嘲笑うかのような態度だ。
PFOSとPFOAは水や油をはじき熱に強いなどの性質があり、はっ水剤や消火剤などに用いられてきた化学物質。
近年環境中で分解されにくく、人体に蓄積されやすい性質が明らかになり、
国内では化学物質審査規制法でPFOSは2010年から、PFOAは21年から製造・輸入が原則禁止された。
一方、過去に製造されたPFOSを含んだ泡消火剤の使用は禁止されていない。
市が9月7日に7カ所で行った海水の調査では目標値内に収まっていたという。
この危険な毒物が垂れ流しになっており、東京湾が汚染されている。
この特殊な液体が何処から漏れているか分からない筈がない。
日本政府はだんまりを決め込んでいる。