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​楽天モバイル「プラチナバンド再割り当て」優性。

携帯電話業界で1GHz以下の周波数帯を指す「プラチナバンド」は、

障害物を回避しやすく建物の中や遠方に飛びやすいので、

少ない基地局で広範囲をカバーできることから携帯電話会社にとって最も重要な周波数とされている。

そのプラチナバンドの免許を現在保有しているのは、NTTドコモKDDIソフトバンクの大手3社。



一方で2019年に新規参入した楽天モバイルは、プラチナバンドの免許を保有していない。

そこで浮上したのが、3社が保有するプラチナバンドを楽天モバイルに再割り当てするという案。

その根拠となったのは、2022年10月1日に改正された電波法。

ただ当然のことながら、プラチナバンドが一部でも失われるとなれば3社の影響は決して小さなものではない。

また、楽天モバイルに周波数を渡すとなれば、色々な作業も必要となりそれらの費用負担も問題となる。

総務省の概要」よれば、移行費用は再割り当てを受ける側ではなく、既存事業者側が全て負担し、

フィルタの設置も必須ではないとしている。



ちなみにレピーターの交換や基地局の増強などについては、再割り当てされる側が支払う。

ただ2022年11月11日に実施された楽天グループの決算説明会で、楽天モバイル代表取締役社長の矢澤俊介氏は、

「使うつもりはない」と明確に否定、プラチナバンド再割り当てに関する費用を一切負担しない姿勢のようだ。

総務省の報告書案が楽天モバイルに圧倒的に有利な内容となったことから、

楽天モバイルは報告書の公表と同じ日に賛同のコメントを発表。

決算説明会の場でも、楽天モバイルのタレック・アミンCEOは「大変嬉しい」と話し、

競願を申し出て2024年3月からプラチナバンドの使用を開始する方針を打ち出している。



一方でこの案は、プラチナバンドを持つ3社には圧倒的に不利な内容だ。

総務省は携帯3社がプラチナバンド再割り当てに必要な費用を750~1150億円と見積もり、

それらの費用を3社が全て負担しなければいけないことになる。

3社の不満は大きい。

KDDIの高橋社長は「言いすぎな所があると思う」と、強硬な発言を繰り返す楽天モバイルの姿勢に疑問を呈した。



ソフトバンクの宮川潤一代表取締役社長執行役員兼CEOも、

楽天モバイルに理解を示す一方、再割り当ては既存顧客に与える影響が小さくないことから、

「少し地に足を付けた形でゆっくり会話できたら」と、議論の姿勢に疑問を呈した。

総務省は長年続いている3社による寡占を長年問題視しており、

2019年の電気通信事業法改正で、3社が力を入れてきたセット販売や端末の大幅値引に、

厳しい規制をかけてきたのも、流動性を高め3社から他の事業者に移行するユーザーを増やし、

競争を促進する狙いが大きい。

総務省は3社に対抗できる事業者の新規参入にも力を入れており、MVNOの参入促進にも力を注いでいる。



新規参入の楽天モバイルに関しては、不利な要素をいち早く減らして3社に対抗できる勢力になるよう、

総務省が動いた結果、楽天モバイル優遇に至った。

電波法改正に関しても、実質的に楽天モバイルにプラチナバンドを再割り当てするためになされた、

という見方が少なからずある。

現段階ではあくまで“案”だが、現在の案がほぼそのままの形で報告書となる可能性が極めて高い。

今後の3社の動きと、結果、消費者や業界全体にどのような影響が出てくるのか。