ウクライナのヘルマン・ハルシチェンコエネルギー相は滞在中のフランスで12日、
欧州最大規模のザポリージャ原子力発電所がロシア軍に占拠されたことを受け、
世界は「原子力の安全性を再考」すべきだと、わたし同様の考えを訴えた。
ハルシチェンコ相は、フランスで13日に開かれるウクライナのインフラ復旧のための資金について話し合う、国際会議に出席予定。
ウクライナではここ2週間で少なくとも40%のエネルギーインフラが破壊されている。
ハルシチェンコ相はインタビューで、ロシアによるウクライナ侵攻が、
「われわれの原子力安全に対する認識を完全に変えた」と指摘。ザ
ポリージャ原発が占領されたことが転機となったと述べた。
ロシアは3月のザポリージャ原発制圧後も周辺地域への攻撃を続けている。
西側諸国や国際原子力機関(IAEA)は、原子炉6基を擁するザポリージャ原発の安全性に懸念を示しているが、
原発と周辺地域の非武装化に関する協議は難航している。
ハルシチェンコ相は「原発が占領されるとは誰も予想していなかった。
このような状況において、安全性の観点からどうすべきか、再考せざるを得なくなった」と語った。
さらにロシアの原発占領は「全世界が問い掛けられた。これはウクライナだけの原子力安全性の問題ではない。
例えば、射程2000キロのミサイルならどこの原子炉にも攻撃できる」と述べた。
ロシア軍は占領後も原発につながる送電網への砲撃を続けている。ザポリージャ原発はこれまでに「5度」停電が発生。
原発では燃料を冷やすため常に電力が必要とされることから、停電となれば「福島(第1原子力発電所)のようになる」恐れがあると懸念を示した。
送電線が破壊された場合、ディーゼル発電機を起動することになっている。
しかし、送電線が修復され、電力供給が復活しても、再び攻撃される懸念は拭えない。
ハルシチェンコ相は「原子力安全をめぐる悩ましい戦いだ」と語った。
ただ、ウクライナとしては原発を廃炉とする予定はない。
ハルシチェンコ氏は「しかし、軍事的な脅威については考える必要がある。これは全く新しい問題だ。
わが国だけではなく、世界が共に考えなくてはならないことだ」と語った。