売り気配のアラームが鳴ったので何ごとかと思ったら、長期金利上限を0.5%程度に拡大。
日本株後場急落。日銀も酷いことをするものだ。
日銀は20日開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の修正を決めた。
日銀はこれまで足元の物価高は原材料価格の高騰などによる一時的なもので、
日銀が目指す賃上げを伴った持続的な物価上昇には至っていないと指摘。
金融緩和策を修正する必要はないと説明してきたが、いきなりの引き締め。
20日の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが急上昇(価格は急落)し、
一時0.460%と2015年7月以来の高水準を付けた。
日銀の変更を受けて、低い水準に抑え込まれていた長期金利が急上昇。
日銀は債券市場について「市場機能が低下している」と認め、
「企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす可能性がある」として変動幅を拡大することで、
市場機能の改善を進める方針を示した。
10年債以外にも売りが膨らみ、新発5年債利回りは0.260%と2013年9月以来の高水準を付けた。
日銀は20日午後、10年債を0.5%で無制限に買い入れる「指し値オペ(公開市場操作)」を実施すると市場参加者に通知。
残存7年程度の国債と連動する長期国債先物の価格は急落し、一時前日比2円安の145円86銭を付けた。
2円の値幅制限に到達したため大阪取引所は取引を一時停止する「サーキット・ブレーカー(売買一時停止措置)」を発動。
長期国債先物のサーキット・ブレーカー発動は2013年5月23日以来およそ9年半ぶり。
10月の消費者物価指数(変動の大きい生鮮食品を除く)は前年同月比3・6%上昇となり、
伸び率は第2次石油危機に伴うインフレが続いていた1982年2月以来40年8カ月ぶりの高水準となった。
11月以降も高い伸び率が続いている。
加えて新型コロナ禍、政府の行動制限をしない方針で、飲食、宿泊業界などが回復、人手不足が強まっている。
日銀は2013年に就任した黒田東彦総裁のもとで、安倍元総理の「アベノミクス」の要請を受け、
「異次元」と称される大規模な金融緩和政策を導入。
16年以降は政策の目標を「量」から「金利」に切り替え、短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導してきた。
しかしここに来て、インフレ抑制のため金融引き締めの動きを強める米欧との金利差拡大が為替市場を直撃。
対ドルの円相場が一時1ドル150円を超えて下落するなど歴史的な円安状況が続いており、日銀への批判も強まっていた。
急激な円安で食料やエネルギーの価格が高騰し、家計や企業の痛手になっている。
黒田総裁は来年4月の任期満了に伴い、退職する見通し。
さすがにこのままでは円安で国民や企業の悲鳴の汚名を免れないので、在任中に大規模緩和の修正を図ったようだ。
日経平均は669円安と大幅続落、日銀の緩和修正で値を崩す。
想定外の緩和修正を受け、昼休みの時間帯に円が急上昇するとともに日経平均先物が急落。
つれて日経平均も急降下し、一時2万6416円91銭(前日比820円73銭安)まで値を崩した。
その後は下げ渋ったが、戻りは限定的だった。
日銀の黒田総裁は、午後3時半からの記者会見で、「市場機能改善に向けたもので、利上げではない」と強調。
その上で、今回の政策修正について「出口戦略の一歩ではない。さらなる変動幅拡大は必要ない」と弁解。
利上げではないと強調した上で、「景気にはプラスではないか」と、惚けた説明をした。