「任命拒否上回る介入」
政府が今月公表した日本学術会議の改革方針に対し、
学者や作家ら文化人127人でつくる「学問と表現の自由を守る会」は27日、方針の撤回を要望する声明を公表。
東京都内で記者会見した佐藤学・東京大名誉教授は、
「(会員候補6人の)任命拒否に匹敵する、あるいは上回るほどの介入が始まった」と危機感をあらわにした。
政府は会員の選考に意見を述べる第三者委員会を設置する方針で、実質的な首相の任命権を強調。
さらに学術会議側の自主的な改革の結果を待たず、来年3月末までに日本学術会議法の改正法案を国会に提出する方針。
海外のアカデミーに詳しい隠岐さや香・東京大教授は記者会見で、
ロシアのプーチンが2010年代に科学アカデミーを改革していた例を挙げ、
「独裁的な方向に向かう時は学者の任命権や発言権が真っ先に攻撃の対象になる。
民主主義では政府の人事・任命などにおびえずに自由に発言できることが大事。先例として未来に残すべきではない」と述べた。
他の団体からも、政府方針に異議を唱える声が上がっている。
医学・医療を担う141学会の連合体「日本医学会連合」も23日、
「独立性を毀損する法制化に強く反対する」とする声明を出した。
政府は20年に菅義偉総理が6人の会員候補を任命拒否したことをきっかけに学術会議の改革を始めた。
この任命拒否を巡り、法学者と弁護士1000人以上のグループが21年4月、
拒否の理由が書かれた文書を開示請求したが、政府は不開示を決定。
グループは政府の情報公開・個人情報保護審査会に不服を申し立てている。
この申し立ての弁護団を務める弁護士11人は25日、今回の政府方針に抗議を呼びかける文書を出した。
「政府の意向に沿う人を会員にし、政府が気に入らない人を排除することを可能とする法律を作り、
学術会議の独立性・自律性を完全に失わせようとするもの」と批判。
‘@自分たちのやりたいようにするために、あらゆる反対派は排除しようとする動きが、
小泉純一郎政権以降安倍晋三氏に受け継がれ、今も続いている。