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クレディ・スイス、大株主が全株式売却。

スイスの金融大手クレディ・スイスの長年の大株主だった米運用会社ハリス・アソシエイツは、過去数カ月で保有株を売却した。

ハリスのデビッド・ヘロー副会長兼最高投資責任者(CIO)が5日、明らかにした。

ヘローCIOは売却の理由を明かさなかったが、先に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)に、

持続的な損失や顧客流出を食い止めるための同行の戦略に対する忍耐を失ったと話していた。



ハリスは昨年8月にクレディ・スイス株を約10%保有していることを明らかにしたが、保有比率は今年1月には5%に低下していた。

ヘロー氏は同行の将来に疑問を呈し、「他行が資本を生み出しているときに資本を燃やしている銀行になぜ投資するのか」と述べた。

クレディ・スイスは2022年第4・四半期に1100億フラン(1200億ドル) 約16兆3,500億円以上の資金が流出したと先月発表。

22年通年の決算は08年の金融危機以来の大幅赤字となった。

クレディ・スイスはロイターに対し、計画を前倒ししており、明確な戦略目標を持っていると説明。

「全てのステークホルダー(利害関係者)に持続可能な価値を確実に提供するため、計画を着実に実施し、

目標に向け突き進むことに集中している」とした。



同行の株価は15日の取引で急落し、上場来安値を更新。

エコノミストのヌリエル・ルービニ氏は、

15日にブルームバーグテレビジョンに対し、「クレディ・スイスは一部の基準からすると、大き過ぎてつぶせないが、

大き過ぎて救済できないかもしれないという問題もある」と発言。

銀行監督当局に救済をうまく実行するリソースがあるか不明だと説明。

同氏は「問題はクレディ・スイスが資本を得られるかだ」とし、「さもなければ悪いことが起こり得る」と警告。

こうした状況を受けて欧米の株式市場では株価が大幅に下落。

クレディ・スイス」は、投資銀行業務や資産運用などのビジネスを50か国以上で展開する世界有数の金融機関。

しかし、危機管理の不備や顧客情報の大規模な流出など不祥事が相次ぎ、利用者の資産引き出しなどが続いていた。

クレディ・スイスは2021年と2022年の財務報告で「内部管理に問題がある」と14日、発表した。

監査法人も内部管理に問題があると表明。



さらに15日には海外メディアがクレディ・スイス筆頭株主であるサウジアラビアの金融機関が、

追加の投資は行わない意向だと報じた。

スイスの中央銀行と金融機関の監督当局は15日、共同声明を発表。

クレディ・スイスは経営の安定に必要な資本と手元資金を保有しているとしたうえで、

もし必要であれば資金繰りを支援するとし表明。

また、アメリカで相次いだ銀行2行の経営破たんが、クレディ・スイスに直接連鎖するリスクはないと強調。

アメリカでは今月10日と12日に2つの銀行が破綻したことで世界の金融市場に動揺が走ったばかりだ。

懸念がヨーロッパにも広がっている。

イギリスの経済紙フィナンシャルタイムズは、クレディ・スイス中央銀行である「スイス国立銀行」に対して、

経営を支援する姿勢を表明してほしいと要請したと伝えた。

フィナンシャルタイムズは、金融機関の監督を行う当局にも同じ要請を行ったとしている。

そして、2つの当局とも公的な支援はまだ決めていないと伝えた。