「タイヤ内給電システム」を開発。
日本自動車販売協会連合会の調べによると、2022年におけるEVの販売台数は、いまだ乗用車全体の1.4%にとどまっている。
公的補助金があるにもかかわらず。
EVの普及に課題を抱えるなか、東京大学大学院は2023年1月、複数の企業との連係により、「EV走行中に給電する技術」の共同開発に成功。
タイヤ内に電力を給電し、さらに車体へと給電する「タイヤ内給電システム」を開発したと発表。
開発は、同大学院・新領域創成科学研究科の教授を中心に、デンソー、日本精工、ブリヂストン、ロームが参加。
「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション社会連携講座」によるものという。
EVの走行中給電を実現する技術として、もっとも地面(送電コイル)に近いタイヤ内に受電コイルを設けて給電し、
さらに車体に給電する。
同システムを活用すれば、路面を走行しながら充電できるようになるため、航続距離を気にする必要がなくなり、
LIBの搭載量を減らすことや、充電時間の課題の解決につながる。
また、LIBの搭載量を減らせるため、車両価格も下げられ、かつ車重も軽くできるため、電費も向上する。
さらに今回の方式であれば、電力伝送の高効率化を実現できるだけでなく、
従来の方法よりも大きな電力を送ることも可能になるともしている。
2023年2月に行われた、自動車技術会電気動力技術部門委員会が主催するシンポジウムでも発表され、期待を集めている。
‘@日本のEVは政府の中途半端な対策で遅々として進まず、年々増加傾向にあった充電スタンドも、
2021年度、減少する事態に陥っている。
経費や維持費がかさみ、採算が合わなければ老朽化に伴い撤去する羽目に。
結果、EVの普及は遠のくという悪循環に陥っている。
この技術が実用化すればEVも加速する可能性がある。
ただ、高周波電源を道路に埋め込むためのコストなど課題は山積みだ。
EVERでは、全ての道路に電極と高周波電源を埋め込む電化工事を施すことを想定していないようだ。
高速道路と主要幹線道路で電化工事を行い、電池の電力を使わずに走行できるようにする。
一方、自宅から高速道路や幹線道路の入り口までなどの一般道路は、小容量の電池で走行。
これにより、EVは大容量の電池が不要になって安価になり、長距離を充電せずに走行できるようになるという。
当面は、決まったコースを走行する業務用車両などでの実用化を目指すことになりそうだ。