フランスのマクロン大統領とフォンデアライエン欧州委員長が5日、中国を訪問。
6日に習国家主席、李強首相と会談する。
共に訪中することで、EU外交の結束を示す狙いがある。
EUからは昨年秋以降、ショルツ独首相、ミシェルEU大統領が北京入り。
先月末、スペインのサンチェス首相が続いた。
いずれも「中国は和平実現に向け、ロシアに圧力をかけてほしい」と促しながらも、米の対中強硬策とは距離を置く。
相次ぐ訪中の背景には、「中国との経済関係は不可欠」という認識がある。
米国がロシアと中国の同時封じ込めを狙うのに対し、EUは対中関係を重視し独自外交を探る。
フォンデアライエン委員長は先週の演説で「対中デカップリング(経済切り離し)は実行不可能で、欧州の利益にならない」と述べた。
中国はロシアを支え、アジアで軍事威嚇を強めていると警戒感を示しながらも、
EUはレアアースの98%、リチウムの97%を中国の供給に依存していると訴えた。
いずれもEV産業に不可欠。
スペインは、新型コロナ後の中国人観光客の復活を期待する。
マクロン氏の訪中には、航空大手エアバス、フランス電力など仏企業トップら約60人が同行する。
ドイツの自動車産業にとっても、中国市場は欠かせない。
ただmEUは近年、中国企業の投資攻勢に対する規制を強めている。
通信事業でも、安全保障上のリスクから参入に歯止めをかける動きが広がる。
ロシア産ガスに頼ってきた反省を踏まえ、戦略的物資では「中国頼み」からの脱却を目標に掲げる。
矛盾した中での訪中に中国は米欧分断の好機と位置付け、経済協力を持ちかけてくさびを打ち込む算段だ。
フランス戦略研究財団のアントワーヌ・ボンダズ研究員は、
「EUの結束は大事だが、米中対立の中で『第3の道』をとると強調しても、実力が伴わない。
米欧を分裂させようとする中国の思惑にはまりかねない」と警告。
‘@絡まり合う世界経済と軍事をうまく切りにけるには、
自国の力と駆け引きの巧みさタフさが求められる。