九州のあるJAの元職員Aさんが批判するのは、TBSが1月12日に放送した『news23』だ。
同番組は特集でJA共済のノルマを追及した。
これまでJAでは職員が過大なノルマを負わされ、自分や家族が不必要な契約を結ぶ「自爆営業」が横行してきた。
Aさんは同僚と同番組の取材に応じ、自宅で一連の問題について証言。
途中、自分の腕時計まで撮影されていることが気になったが、記者からは「バレることはない」と言われたという。
そのほか共済の契約書なども提供した。ただし、放送前には編集した動画を確認させてもらう約束を得ていた。
ところが「放送日を伝える連絡が直前にあっただけで、動画を見せてもらえませんでした。
いざ番組を見ると、自宅や腕時計までが映像加工されずにそのまま映っていたんです」
「放送を見て、裏切られた思いです。映像加工しているのは顔だけ。
首から下は丸映りで、明らかに自分とわかる映像でしたから。
案の定、職場ですぐに身バレしてしまい、ずっと冷たい視線を浴びてきました。
あまりにいたたまれなくなり、退職するしかなかったんです」
Aさんは3月末にJAを退職した。
最後の出勤日、組合長が「番組に出たのはお前だろ」と言って見せてきた書類には、放送時の自分の姿や契約書の画像が載っていた。
いまは無職だ。2人の子どもを抱え、「今後が不安」と話す。同僚はJAに残ったものの、嫌がらせを受けているという。
「同僚には4月1日付で離島の支店への異動辞令が出ました。明らかに左遷人事です」(Aさん)
Aさんは番組のせいで退職に追い込まれたことを記者に伝えたが、「いまだ一切の謝罪を受けていない」という。
不正の告発を萎縮させないためにも、こうしたことはあってはならないはずだ。
「週刊現代」(取材・文/窪田新之助)
‘@勇気を振り絞って告白したらテレビ局側の不手際で退職に追われ人生が一変。
米国などなら多額の賠償金が発生するが日本はこういった事案には甘い判断が下される。
Aさんの怒りはどこにぶつければいいのだ。
怒りよりも不正を正した人間が不当な扱いを受けていいはずもない。
TBS『news23』の責任は重大だ。