新型コロナに感染すると、症状が長引いたり、治まっても再発することがあり、このような状態は「コロナ後遺症」（罹患後症状）と呼ばれる。
一方、新型コロナ後遺症に関する研究データは限られており、その詳細についてはよく分かっていなかった。
そんな中、新型コロナ感染症の症状を2年間にわたり追跡調査した研究論文が、英国医師会誌の電子版に2023年5月31日付で掲載された。
スイスで行われたこの研究では、新型コロナの感染が確認され、感染前にワクチン接種を受けていなかった1106人（感染者）と、同ウイルスに感染していない628人（未感染者）が対象。
感染から6カ月、12カ月、18カ月、24カ月後における健康状態について詳細な検討が行われ、新型コロナによる長期的な健康状態への影響が分析された。
その結果、感染者で症状が完全に回復していないと回答した人は6カ月後で22.9％、12カ月後で18.5％、24カ月後で17.2％だった。
多くの感染者では時間の経過とともに症状が回復した一方、感染者のうち5.2％は健康状態が悪化、4.4％は回復と悪化を繰り返したと回答。
論文著者らは「ワクチンを接種していなかった人の最大で18％が、感染から2年までに後遺症を経験しており、未感染者と比較して過剰な症状リスクがあった」と結論。
2020年に報告された米国の研究データによれば、入院患者の死亡リスクは、インフルエンザ感染症と比べて、新型コロナウイルス感染症で、約5倍高いことが示されている。
最新の研究データが、米国医師会誌に23年4月6日付で掲載された。
この研究でも、新型コロナ感染症で1.61倍、統計学的にも有意に高いことが示された。
なお、死亡リスクは新型コロナスワクチンの接種回数が多いほど減少したとしている。
論文著者らは、新型コロナ感染症で入院した人では、もともと死亡リスクが高かった可能性に言及しているが、
それはインフルエンザも同様だろう。高齢者は常に犠牲となる。
