様々な問題を残したまま、通常国会が17日閉会した。
野党は新型コロナの感染拡大に備える必要性などを訴え、
会期を12月28日までの194日間延長することを求めたが、
政府・与党は応じなかった。
新型コロナ対策が遅れた原因の一つに、野党の求めや政策は絶対反対とする、
安倍総理の怨念があるのではないか。
野党は通常国会召集直後の1月末ごろから、この法律をコロナ対応にも適用し、
迅速な対応を求めてきた。
しかし、安倍総理は「コロナ対応には適用できない」との姿勢をとり続けた。
結局3月になって、特措法を改正してコロナ対応を可能にした。
その改正も中途半端だった。
緊急事態宣言を含むコロナ対応の根拠法となっているのは、
民主党政権で成立した新型インフルエンザ等対策特別措置法だ。
安倍総理は野党の作ったこの法律を適用したくなかったのだ。
挙句、対応が大幅に遅れた。
1人一律10万円の定額給付金。
これは、野党が4月2日の政府・与野党連絡協議会で、政府側に申し入れたものだ。
安倍総理は当初これを採用せず、補正予算に盛り込まれた「減収世帯への30万円給付」を、
強引に押し通そうとした。
しかし、対象者の少なさなど国民から大きな批判を受けると、
閣議決定まで済ませていた予算案を、10万円給付に組み替える決断をした。
一度閣議決定した予算案の組み替えは極めて異例なことだ。
しかし、そのために給付が大幅に遅れることとなった。
大きな二本柱の遅れは対応の遅延を招いたのだ。
当初から、安倍総理が英断していれば、新型コロナは1か月早く今の状態になっていた。
そして、安倍政権の支持率も、ここまで落ちることはなかっただろう。
報道されていないが、国会に設けられた政府と与野党による「連絡協議会」。
そこで単なる「批判のための批判」にならない、現実的な提案を生んだ。
こうした枠組みは東日本大震災当時を踏襲したものだ。
こういう危機の局面で、一定程度の協力関係を築ける効果をもたらす。
安倍総理が柔軟で本当に国民のことを考えていれば、もう少し早い対応ができた。
与党の中にも、まともな人はいる。
閣僚は安倍総理の顔色だけしか見ていないので使い物にならないのだ。
今回のコロナ危機で、それが目に見える形で示されたことは、日本の政治にとっては良いことだ。