私の好きな佐藤優氏も焼きが回ったようだ。
他宗教に足を突っ込んだからなのだろうか。
「政府の一連の対応は、学問の自由に対する介入だ」という批判がなされていますが、
もともと菅政権にそこまでの意図はなかったと私は見ています。
しかし、この諍いが続くことで、結果的に「学問の自由に対する介入」が本当に起きてしまうかもしれない」
佐藤氏の見るところでは、今回の問題は、「高度な政治意思」(=意図的)というより、
さまざまな「偶然」が複雑に絡み合って生じている。
この問題を解きほぐすために、まず官邸中枢での「決裁」の日常業務について、
佐藤氏はこう指摘する。
〈小渕内閣時代に、鈴木宗男官房副長官の横で、首相に上げる膨大な決裁書を決裁する場に、
何度も立ち会ったことがあります。秘書官などが小声で耳打ちするだけで、
政治家が特段の関心を持っている案件以外は、詳細な説明なしに、そのまま決裁が通ります。(略)
今回、菅首相も、上げられてきた人事決裁案をさしたる問題意識ももたずに決裁してしまったのでしょう。(略)
官邸中枢にとっては、おそらく“もらい事故”という感覚ではないか〉
‘@菅総理は官房長時代から学術会議に疑問を抱いていた。
問題意識を持っていたのだ。この指摘は当たらない。
そして、行政の中枢(官邸)の意図とは別に、主要なアクターとして、「情報を扱う官僚」が、
〈人文社会科学の学知が何たるかを理解しないままに、日常業務として、
新聞、メディア、インターネット上での発言をチェックしている課長補佐レベルの官僚が、
目障りな学者を大した考えもなしにリストに載せたのではないか。>
‘@だとしたらそれはそれで問題だし、そこが問われているのだ。
なぜ、6人が外されたのか。
それが、たいした考えもなしに、ガラガラポンンで外されたとしたら大問題だが、
佐藤氏も認めているように目障りな学者を排除したのだ。
理解しているのに、なぜ、こんな理屈になるのか。
「日本共産党のせいにしろ」と指令が出たのか。
それでも、「学術会議」と「官邸」の二者の間だけでやりとりが続けられていれば、
“軟着陸”の余地は十分あったと佐藤氏は見る。
これが、妥協不可能な“政争”となってしまったのは、『しんぶん赤旗』の“スクープ”が出てしまったからだ。
〈しかし、学術会議の事務局員は、公務員として守秘義務があるはずなのに、官邸からすれば、
これは“スクープ”ではなく“情報漏洩”です〉
〈『赤旗』に出なければ、6名の任命拒否の内示を受けた時点で、
当時の会長である山極壽一氏が、「これは何ですか」と首相官邸にすぐにかけ合えば、
官邸と学術会議の間で交渉の余地はいくらでもあったでしょう。
それが不可能になったのは、学術会議が動く前に、『赤旗』の“スクープ”が出てしまったからです〉
‘@それについても、日本学術会議前会長の山極寿一(京大前総長)氏が、
何度となく政府に面会を求めたが会えなかったと証言している。
政府側は端から話し合う気などないのだ。
もし、情報を流したとしたら、「このままでは泣き寝入りとなる」致し方なく流したのだ。
事実、今も、騒動の割には泣き寝入り状態だ。
では、この問題は、今後どうなっていくのか。
〈“政争”になった以上、菅政権としては、少なくとも今すぐには、6名の任命を認めることはできない。
しかし、「総合的、俯瞰的」という誰も納得できないような稚拙な説明に、私はむしろ菅政権の“良心”を見ます。
「マズいことになったな」というある種の疚しさが感じられるからです。そこにせめてもの“救い”がある〉
なんの救いがあるのだ。
‘@佐藤氏も焼きが回ったようだ。それとも、最後にもう一度政権に返り咲きたいのか。
佐藤氏も認めているように、誰も納得できないような稚拙な説明に何を求めるのか。
学術会議解体論も出ている。
私もこの際そうした方が良い気もする。
しかし、それは日本国にとって大きな損失となる。
アカデミーは本来国に拘り、国の中枢で耳の痛いことも述べるから存在儀がある。
〈怖いのは、官邸は「早く店仕舞いをしたい」と思っているようなのに、
「アカデミズムに介入するチャンスだ」と思い始めている人たちが自民党の一部にいることです。(略)
こうした動きに呼応して、任命拒否された学者のいる大学に抗議の電話が殺到するようなことが起こらないか心配です。
こうなると、学術会議だけでなく、大学やさまざまな研究機関が萎縮してしまう。
とくに加藤陽子氏のような優れた学者が、仕事をしにくい環境に追いやられ、
才能を消耗させてしまうことを私は危惧しています。
最終的には、国民にとってマイナスでしかありません〉
‘@だから問題視しているのだ。
官邸も学術会議も国民も早く店じまいしたいと思っている。
だとしたら、菅総理がみんなに分かるように説明すべきだ。
その悪意をまいたのは菅総理だ。学術会議側ではない。
大学やさまざまな研究機関が萎縮するように仕向けているのは政府なのだ。
それが目的にしか見えない。
菅総理は「俺の言うことを聞かないやつは異動だ」と、堂々と述べている。