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西浦教授、GoToトラベルと感染拡大を裏付ける『論文』を発表予定。

「無防備なヒトの移動で感染拡大は自明」


‘@私だけの提言では影響力が薄いので、西村教授が腰を上げてくれた。

当たり前のことを、政府に忖度して捻じ曲げる専門家やマスコミの発言。

しかも政府は都合の良いことだけを、都合の良いように解釈して発表している。

 

「航空旅客数と感染者数の増加には統計的な因果関係は確認できない」が、

厚労省のホームページで公開された。

「会議後、厚労省HPで公開された。そのことに対して構成員の一部は専門家内で懸念を表明した。

さすがにこれが資料となれば、アドバイザリーボードの疫学者として

その見解を受け入れて何も述べないと思われてしまっても仕方がない、

という懸念を疫学専門の構成員の多くが抱いた。

 

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西浦博教授『「GoToトラベル」と感染拡大の因果関係について考える。

「無防備」なヒトの移動で感染拡大は自明』

観光庁が発表したデータは調査方法が公開・明示されておらず、

政策を通じて旅行関連感染者数が増えた可能性は否定出来ない。

「ヒトが無防備に移動をすると感染症の流行が空間的に拡大することは,

理論的・定性的に自明のことである。

それは理論疫学におけるメタ個体群流行モデルを取り出さなくても想像することができる。」

特定の数を超えて感染者が報告される都道府県が増えており、

全国的に広がる傾向に拍車がかかったと解釈される。

これは期間4にシルバーウィークを含むことからもわかるように、

必ずしも第2次GoTo単体の影響であるとは言い切れない。

海外からの移入の影響は否定できない。

しかし、この図を見て「GoToの影響がない」と真面目な顔で言うことは困難になる。

実を明かすと、私は上記の説明にあるような分析を8月頃から急ぎ展開しており、

それは査読を受けた論文として発表する予定である。

そのため、今後もGoToトラベルと感染拡大を裏付ける知見が出てくる予定であり、

周辺的なエビデンスになり得る分析結果も持ち合わせている。

ただし、それは研究者個人として公開データを基に分析した結果である。

だから、それを自主的に専門家内で非公式に共有することは続けてきたが、

一般社会に査読前の未完成な知見が私の責任だけで行き渡りすぎることを避けてきた。

特に、GoToトラベルは現在までに政争の具になってしまった政策の一つであり、

その是非に関する科学的根拠を私1人の査読前の分析だけで引き受けることは

健康的ではないことが自明だからである。

しかし、現流行状況は待ってくれず、やむなく研究知見の紹介として

一部簡単に作成可能な図を公開することとした。

因果関係が疑われる中、政策を継続することによって

注意義務違反が起こらないようにするためにも、議事録の残った会議体の中で

科学者として勇気を持って毅然と発表することが求められていた。

 

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【移動と感染症

そもそも論をしっかりと述べておかなければならないが、

ヒトが「無防備に」移動をすると感染症の流行が空間的に拡大することは

理論的・定性的に自明のことである。

それは理論疫学におけるメタ個体群流行モデル(ヒト集団がパッチ状に空間的に配置されていて、

その多数の集団が移動によってつながっている中で流行が起こるモデル)

を取り出さなくても想像することができる。

ある2つの独立した空間の人口があり、その間を構成員が移動して行き来するとする。

その移動率が上がれば上がるほど、ほぼつながったものになる。

すると、それは2つの集団の感受性人口が合わさって1つになるわけだから、

感染規模もより大きなものになる。

これは厳密な意味での記述ではないが、密度効果の存在が判明しつつある

新型コロナウイルス感染症では狭い空間でできた2つの都市がつながることは

少なくとも一定の影響を与えるものと考えられる。

加えて、旅行を「勧奨する」ということは行動範囲を広げることになるわけであり、

GoTo実施によって接触機会が増えるというのは理論的に自明なことである。

そのため、感染制御を目指す観点から言えば、本来的には「移動をしていいはずがない」のであり、

GoToトラベルのように移動を「積極的に勧奨する」こと自体は

本質的に流行制御と逆方向の施策である。

その中で、観光業等の振興のために政策意志として

どうしてもGoToトラベルを実施することが決定的であった中において、

「移動をしながら感染予防をする」という困難な命題に挑戦をしたのが

今秋の政策対応であった。

上記の「移動をしたら感染者が増加するのは自明」なのは

感染防御をしない時のことであり、移動先で感染しない行動を徹底することや

予防策の詳細をカスタマイズしたガイドラインを通じて

各セクターで努力をする挑戦をしたのだと私は理解している。

 

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そのような中、緩和するムードが拡大する一方で、

生活の要所要所で感染予防に必要なところは締めていく、ということを

国民全員で行いつつ行動することに挑戦したのだが、

それには様々な困難を伴ったものと思われる(詳細は今後の研究評価が待たれる)。

1点、私に後悔があるとすれば、そのような中で、専門家の先生方は

移動の本質的なリスクに関して科学的見地に立って明確な言及ができなかったことである。

新型コロナウイルス感染症対策分科会等でも、

ややもすれば「人の動きそのものが感染拡大の主要因とはならない」

と言及し兼ねないトーンの記述も見たことがあり、

そう言った傾向は、理論疫学の科学的側面を十分に理解した立場からすれば

あまりにも為政者に気を遣ったものであったと思う。

‘@重症者は増えていないと力説する専門家やコメンテーター、メディアなど。

しかし、増えていない筈が無い。

第1波の最高値を超えていないだけだった。

しかし、全国の重症者数が22日時点で331人となり、

緊急事態宣言が出ていた「第1波」ピークの328人(4月30日)を超え、

過去最多となり、3週間でほぼ倍になった。

今後も感染者が増加しても死亡数は増加しないとみられる、

などとのんきなことを述べる人もいる。

しかし、11月の死者数も21日時点で208人となり、10月の195人をすでに超えている。

感染者が増えれば、重症者数も死亡者も増えていくのは当たり前のことだ。

理解できない人が公の場で発言すること自体が混乱を招く。

そして、新型コロナはインフルより強力だということを認識すべきだ。