中国外務省の趙立堅副報道局長は14日の定例記者会見で、
東京電力福島第1原発の処理水について、日本の麻生太郎財務大臣が、
「飲んでも何てことはないそうだ」との発言を踏まえ、
「飲めるというなら飲んでみてほしい」と述べた。
趙氏は「太平洋は日本の下水道ではない」と、海洋放出の方針決定を改めて非難した。
麻生大臣は13日、海洋放出の方針決定に関して、
「もうちょっと早くやったらと思っていた。飲んでも何てことはないそうだ」と発言。
民主党政権下、内閣府の園田康博政務官(当時)は、2011年10月31日、都内での記者会見の席上、
東京電力福島第一原発にたまっている低濃度の放射能汚染水を処理した水を飲んだ。
発端は、10月10日の東電主催の会見で、フリージャーナリストの田中昭氏が、
「我々、報道機関は福島第一原発の現地取材を拒否されている。
本当に『低濃度』か確かめようがない」と追及。
すると、東電幹部は「口に入れても大丈夫」と発言。
これに対して、田中氏は「それならば、実際にコップに入れて飲んでもらいたい」と迫った。
しかし、東電幹部は「飲料水ではないので……」と渋った。
その後、13日の会見で、別のフリーライターが「菅さんもカイワレダイコンを食べた前例がある。
東電が飲んでも大丈夫といっているのだから、一杯どうですか。飲んでみませんか」と発言。
園田政務官は「パフォーマンスと受け止めてほしくないが、要望があれば飲む」と答えた。
その後、10月24日の共同記者会見で、汚染水の分析結果が公表された。
それによると、トリチウム以外の放射性物質は検出されなかったという。
政府・東電が、汚染水に含まれるトリチウムの存在を明らかにしたのは、このときが初めてだった。
そして、園田政務官は31日、東京都内での記者会見の席上、
放射能汚染水を浄化、脱塩処理した水を、コップ半分ほど一気に飲んでみせた。
園田政務官は会見で「私が飲んだからといって安全性が証明できるわけではなく、意義はない。
要望があったために飲んだ」と説明した。
処理水の一部は、希望者に配られ、フリーライターらが受け取った。
あれから10年近く、もう少し早くに何とかならなかったのかと思うのは、
麻生大臣だけではないが、麻生大臣が他人事のように述べることではない。