オランダは過去に、1928年のアムステルダム五輪、
1980年にパラリンピックを開催している。モスクワオリンピックの時だ。
しかし、2011年には、2028年夏季大会の招致プランが検討されたが、
五輪招致の必要経費が“少なくとも”3000億円という見積もりを受けて、
「コストがかかりすぎ、開催の意義を感じない」とスポーツ省や国会議員に却下されている。
コロナ禍が本格化する直前の2020年2月には、
オランダ五輪委員会のアネケ・ファン・ザネン氏が、
「オランダに五輪を招致するのが我々の目標で、常に意識にある」と、
2032年大会の招致に向けた意欲を地元紙に語った。
しかし、スポーツ省のブルーノ・ブルーインズ大臣が、
「五輪開催地への立候補の動きを支持するが、公的な資金を開催費用に捻出するには、
国民の理解と支持が必要。また12年先の開催を現時点で論じるのは時期尚早」と反対。
この話も立ち消えた。
オランダでのオリンピックやパラリンピックの人気は高く、メダル獲得数も多い。
代表選手がトレーニングする施設も、最先端の設備が揃うスポーツ先進国だ。
IMFの経済指標などを見ても日本よりよほど健全で、財政危機に陥っているわけでもない。
しかし倹約国として知られるオランダは、リターン(国民に対して)が不透明なものに対して、
投資をすることには慎重で、それよりもインフラ整備や福祉、教育の充実など、
国民の生活に確実にプラス(リターン)になるものに予算を割きたい、と考える。
いまさらだが、以前から指摘しているが、国民にとって本当に必要なものを見極め、
決定していくのが政治家の務めだ。
自己の栄誉、満足のために働く政治家は、いらない。