埼玉、危険な状況、病床「ほぼ100%」使用。
基準以上の症状でも入院できず。
大野元裕知事は18日の県対策本部会議で、
「夏場における救急医療需要の高まりと相まって、救急医療も含めた医療体制の逼迫は極めて深刻」
と危機感をあらわにした。
「命の危機に際して医療従事者や多くの方々が不眠不休で、懸命に格闘している」と述べ、
新規感染者の抑制や重症化を防ぐための対策に力を入れるとしたが、
もう少し早い段階で、全力で力をいれるべきだ。
17日時点の県内の病床使用率は69・6%、重症病床は73・1%。
入院、宿泊療養調整中の人数は空き病床やホテル室数を上回っている。
さいたま赤十字病院(さいたま市中央区)でコロナ禍初期から対応の調整を担ってきた、
清田和也副院長は「基準以上の症状でも入院できない状況があり、
(病床や医療の)需要と供給のバランスが狂っている。
在宅で死亡する人の増加が懸念される危険な状況だ」と危機感を訴えた。
清田福院長によると、同病院では重症、中等症病床どちらも満床に近い状態が続いている。
県内の確保病床は数字上では3割程度余裕があるが、
県医療整備課は「小児科や周産期などの特殊な病床、男女どちらかに限った相部屋などを除き、
現場感覚ではほぼ100%埋まっている」という。
県内では8月も自宅療養中に急変する例が出ている。
県宿泊・自宅療養者支援センターの協力医療機関は、1カ月半で344カ所から約500カ所に拡大し、
地域のかかりつけ医による健康管理体制も順次拡大するなど、
県は自宅療養者のケアに取り組んでいるが、それでも追いついていないというか、
新型コロナウイルスに、追い付かれ、抜かれてしまった。
県感染症対策課は「急変時には救急車を呼ぶしかない」と話すが、
救急車を呼んでも入院先はなく、自宅待機となる。
清田副院長は「東京と同様に搬送困難が生じる状況で、東京より医療資源が乏しい。
自宅で苦しくなった患者が救急車を呼んでも受け入れ先がない状況だ」と説明。
県は10日、「感染者急増時」にあるとし、19日を目途に重症病床を確保するよう医療機関に要請。
同病院ではハイケアユニット(高度治療室)の重症病床への転用を進めたが、
清田副院長は「看護師の確保などに通常2週間ほど調整の時間がかかり、9日間では難しい」と戸惑う。
さらに県が6日から感染経路や接触者の調査を縮小したため、
看護師の家族が利用する保育施設で感染者が出た場合に濃厚接触者が判定されず、
院内感染対策として勤務を自粛するなど人員確保に影響が出ているという。
清田副院長は「ウイルス量が増える前の初期の段階で投与する必要があり、
入院できてからでは手遅れかもしれない」と指摘。
県感染症対策課は「重症化リスクがある患者をピックアップし抗体カクテル療法を行う拠点を準備している」
「感染者受け入れ医療機関以外で、投与後24時間経過観察を行える施設を調整している」と話した。