戸惑う自治体、「国の指示通り書き直した」
国には「都道府県に責任はない」と説明してほしい。
自治体ぐるみというのは訂正する。
しかし、誰も不思議に思わなかったのか。
そもそも、鉛筆指定が怪しい。‘@
(これもか)
国の基幹統計の書き換えが明らかになり、国の指示で実際に作業にあたっていた自治体の担当者からは、
戸惑いや批判の声が上がっている。
宮崎県の担当者は、県内には国や県が許可した約4300社の建設業者があり、
抽出された約150社に調査票が送られる。県への提出が遅れるのは1割ほど。
これらの調査票は国からの「事務処理要領」に従い、遅れて出された月の数字を消しゴムで消し、
直近の月に上乗せして国に送っていた。
だが国は、県が数字を消した月に推計値を入れており「二重計上」が生じた。
担当者は「国でどんな統計処理をしているかは県にはわからなかった」と話す。
調査票の回収業務は、地方自治法に基づいて都道府県などが国に代わって行う「法定受託事務」。
福岡県の担当者も「国から示された手順に従ってやっていただけ。
国の統計処理のことなので、県は集めた結果を淡々と報告するだけだった」
東京都の担当者は、「イレギュラーな処理だが、遅れて提出していただいたデータも、
無駄にせずに生かすためだと認識していた。指示通りに作業した」と話した。
埼玉県の担当者は「まさか不正な書き換えだと思っていなかった」と答えた。
宮城県によると、県にはコピーの保管もないといい、
担当者は「書き換え前の数字を把握するには、各業者に聞くしかないのではないか。
ただ、過去に報告した数字を業者が持っているかどうか。調査はかなりハードルが高い」と話す。
岡山県の担当者は「都道府県は書き換えをさせられていた立場。
国には『都道府県に責任はない』と説明してほしい」と訴えた上で、
「結果として調査の信頼性を損ねてしまった」と肩を落とした。
「今後、統計作業などでおかしいと思うことがあれば、国側と積極的に意見交換したい」と話した。
神奈川県の黒岩祐治知事は「どうしてこういうことが起きたのかをもう一回精査し、
二度とないようにしていただきたい」と苦言を呈した。
また「国のマニュアルに従うのが法定受託事務をやっている県としての使命」と述べ、
関わった職員をかばった。