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菅義偉元総理の内幕暴露本。

1冊の暴露本『『孤独の宰相 菅義偉とは何者だったのか』(文藝春秋刊)が話題となっている。

菅議員を官房長官時代から担当していた日本テレビの柳沢高志著。



新型コロナウイルスの感染拡大で安倍政権が揺らいでいた2020年6月、

官房長官(当時)は、岸田議員が首相になることについて「国のためにならない」と断言。

「俺がなる!」と心の中で叫んだ。


官房長官は総裁選立候補に向けた政策集づくりに着手していた。

親しい官僚らを集めて勉強会を開き、政権構想の本を出版する準備に入っていた。

柳沢氏も勉強会のメンバーになっていたという。

官房長官は総理になるつもりはなかったとする評論家もいたが、

私の指摘通り、菅官房長官は、表向きは慎重な姿勢を見せていたが、準備は着々と進めていたのだ。

総理の座に就いた菅官房長官は、新型コロナ対策としてワクチン接種の推進をはかるが、冬から感染が拡大。

記者会見は、覇気のない声で、質問に正面から答えない場面が目立ち、国民の信頼感が薄らぎ批判された。

そんな中、菅総理は東京オリ・パラの開催を強行。

21年9月の自民党総裁選に先駆けて衆議院を解散し、総選挙に臨むシナリオを描く。

しかし、感染拡大でタイミングがつかめなかった。

結局、党内の反対で解散に踏み切ることはできず、9月3日には総裁選不出馬を表明。

退陣を余儀なくされた。



柳沢氏は菅官房長官と担当記者の関係性について記している。

官房長官会見で、記者は、何とか菅の口からニュースを引き出そうと、あの手この手で質問するが、

菅は規定の答弁ラインから一切逸脱することはなかった。

おのずと、記者の質問には直接、答えないことも多くなる。

しかし、長官番記者にとってみれば、記者会見で菅の怒りを買う質問を執拗に繰り返すよりも、

別の機会にサシとなって懇談取材に呼ばれる方が、メリットが大きいという思惑もある。

だから、“はぐらかし”答弁を殊更、問題視することもなくなっていった。

メディアと菅官房長官との打算的な関係が築かれていたともいえる。

こうした関係を前提として成立していた“幻想”のようなものだった」と暴露している。

私などが「記者は何でもっと聞かないのだ、突っ込まないのだ」とイライラしていたが、

彼らにとっては既成事実だったのだ。

国民は菅総理とメディアにコケにされていた。

官房長官の記者会見は形骸化し、メディアが政府をチェックするという役割を果たしていなかった。

さらに、「野党は批判ばかり」というレッテルを張り付け、野党を攻撃した。

政府与党とメディアが如何に一体化していたのかが、改めて浮き彫りとなった。

9年近く続いた安倍・菅政権下で、官邸と政治記者との関係は歪み、メディアは政権にひれ伏していたのだ。

民主主義の根幹を、政治家や記者たちが放棄する事態になっていた。


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