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​ロシア軍、徴集兵の真実。

プーチンは否定したが、訓練が不十分な徴兵者を派兵しているのは明らかで、

ロシア国防省は関係者の処分を急ぐ考えを表明した。

ロシアでは約30年前の内戦で、徴兵された若者たちが多数死亡し、

彼らの母親が政権を激しく非難して厭戦ムードが高まったことがある。

今回も母親団体から懸念の声が上がり始めており、戦争継続への影響が注目される。



国際女性デーの3月8日、プーチンは女性たちへの恒例の祝辞でこう断言した。

「徴兵された兵士たちは軍事行動に参加していないし、これからも参加することはないと強調しておきます」

ウクライナ侵攻に徴兵された若者たちが派遣されているとの指摘があり、そうした批判をかわす狙いだ。

プーチンは、派兵されるのはプロの将兵である契約兵のみだと述べた。

一方、徴兵された兵士は徴集兵と呼ばれ、入隊後、約4か月しか訓練を受けていない。

ロシア軍後方支援の任務に当たっていた部隊の一つが敵に攻撃され、

徴集兵を含む多くの軍人が捕らわれ、いくつかの事実が発覚した。

徴集兵が作戦に参加するのではないか、という疑いは開戦前から浮上していた。

徴集兵の人権を守る活動をしているNGO団体「兵士の母の会連合会」(モスクワ)は

侵攻開始4日前の2月20日、モスクワ近郊の部隊に所属する徴集兵たちが、

ウクライナ国境まで移動したことを公式サイトで次のように報告。



ドルビノ駅(ウクライナ国境沿いのロシア西部の駅)の構内に、

第4親衛戦車師団の契約兵と徴集兵が100人以上いると、地元住民から連絡があった。

兵士たちはすでに5日もとどまっており、自腹で食料を買っているが、金がつきた兵士もいるという。

兵士用の携帯食はどこにもなく、いつ届くかもわからない。

住民が証拠の写真を送ってくれた。たくさんの戦士が、缶詰に入ったニシンのように、狭いところにいる。

タイルの床にじかに寝ている。食料も手を洗う水もない。

「母の会」は軍司令部に善処を求めたが、状況は変わらず、

翌21日には兵士たちが目的地へ派遣されたとの連絡を受けたという。

「母の会」のスベトラーナ・ゴルブ会長は、侵攻が始まった24日、公式サイトに次のようなコメントを発表。

「法律上、徴集兵は軍の作戦に関われない。しかし、事実は異なる。ロシアで徴兵された兵士が、

本人が知らないうちに契約兵とされ、国境を越えさせられた例があり、

今回もそうなっている可能性は十分ある」

軍は沈黙を続けたが、開戦以前にすでに一部は破綻していた。



ロシアの別のNGO「ロシアの兵士の母委員会」は、プーチンの発言を疑問視する公式声明を出した。

プーチン大統領は、ウクライナの特別作戦に派遣されるのは契約兵だけだと述べた。

しかし、作戦地域へ徴兵された兵士を、だまして送り込もうとする指揮官についての(母親からの)訴えが、

毎日、私たちに寄せられている。

私たちは、軍検察、国防省とともに、すべての訴えについて解明にあたっている」

徴集兵の母親による抗議は地方でも起きている。

英国紙テレグラフやラジオ局「スバボーダ」などによると、ロシア南部のケメロボ州で、

兵士の母親たちがツィヴィリョフ州知事と面会し、次のような厳しいやりとりを交わしたという。

母親 みんな騙された。

知事 誰もだましていません。

母親 大砲の餌食になるため送られた。ベラルーシで演習なんてやらなかったのでは。

準備もできていなかったのに、なんで若者が送られたんですか。みんな20歳ですよ。

知事 これは特別な作戦で、誰もコメントはしないんです。それは正しい。彼ら(若者)を使ったのは...

母親 「使った」って!私たちの子供を「使った」のですか。

知事 彼らは、特別な任務を与えられて、そのため努力しているのです。

母親 彼らは自分の任務を知りません。

知事 叫ぶことや、誰かを批判したりすることはできますが、今行われているのは軍事作戦です。

結論めいたことを言ったり、批判したりしてはいけません。作戦はまもなく終了します。

母親 その時には、みな死んでいる。



ロシア社会では、徴兵された若い兵士たちが戦地に派遣されることには根強い反発がある。

ソ連崩壊3年後の1994年、ロシアでは南部のチェチェンで独立を目指す武装勢力と政府軍とで、

内戦(第1次チェチェン紛争)が起き、未熟な徴集兵たちが多数戦死したからだ。

この際、政府に撤退を求めたり、反戦活動をしたりしたのが兵士の母の会だった。

紛争はチェチェン側の根強い抵抗で泥沼化し、一時休戦となったが、

母の会からの「圧力」も政権にとっては無視できない要因だった。

一方、ウクライナ側はこうした「弱点」を突く手法を採っている。

ゼレンスキー大統領は3月12日、メッセージアプリ「テレグラム」で、ロシア人の母親に対し、

「特に徴兵者の母親たちに言いたい。外国との戦争に息子たちを送らないで。

あなたたちの息子がウクライナとの戦争に派遣されたという疑惑が少しでもあるなら、

即座に行動を起こして下さい」と呼びかけた。

‘@戦争が長引き、もしくは収束しても、帰って来ない息子を知った時、

母親たちは、プーチンはどうするのか。