国側が退席中も原告と裁判所の会話を録音。
「前代未聞」と弁護士が抗議。
国を被告とした労働裁判の弁論準備手続を、国側の指定代理人が密かに録音していたことがわかった。
録音は、国側がいったん退席し、原告側と裁判所が個別に話すときも続いていた。
「手札」を盗み見られる形となった原告側は「当事者間の信頼関係を根底から崩す前代未聞の行為」だと憤る。
裁判は原則公開だが、弁論準備手続は原則非公開となっている。
原告側代理人の笠置裕亮弁護士によると、
横浜地裁横須賀支部で10月11日に実施された弁論準備手続で、
録音機は国側の指定代理人のひとりが開けたままにしていた書類ファイルの下に置かれていたという。
国側の退席後、笠置弁護士がファイルの表紙に橙色の点滅が反射していることに気づき、録音が発覚。
裁判官の問いかけに対し、国側は「うっかり」を強調したが、実際に裁判所がデータを確認したところ、
少なくとも2022年7月以降の期日が録音されていたことがわかったという。
「非公開の手続きであることが制度的に担保されているからこそ、
和解に向けて率直な意見交換をおこなっていたのに、弁論準備手続の秘密性をまったく理解していない」
と笠置弁護士は憤る。
仮に同様の行為を弁護士がした場合、弁護士会から重い処分がくだることが予想される。
笠置弁護士は即日抗議の書面を提出。
国側に指定代理人を即刻解任し、厳正に処分することや、
再発防止のために法曹資格を持たない指定代理人への研修をおこなうことなどを求めている。
‘@国はどんな汚い手でも使う。国側は信用できないということだ。