3日、ウクライナ南部ヘルソン州を実効支配するロシア当局者は、
ロシア軍がドニエプル川西岸から撤退する可能性が高いと述べた。
実際に撤退が行われればロシアにとっては大きな後退で、侵攻の転換点になる。
ただ、ウクライナ側や欧米のアナリストはロシアの撤退に慎重な見方を示しており、
撤退を装ったわなの可能性に警戒している。
ヘルソン地域のロシア文民高官、キリル・ストレムソフ氏は、ロシアメディアとのインタビューで、
「われわれの部隊や兵士は左岸(東)へ去るだろう」と述べた。
ウクライナ南部軍司令部の報道官は、「敵は占領地から立ち退くと信じ込ませようとしているが、
われわれはヘルソン方面でも戦闘を続けている」と述べた。
米国のオースティン国防長官は3日、ウクライナ軍はロシア軍からヘルソン市を奪還できるとの見方を示した。
9月に入り、ウクライナ軍の進軍が顕著な南部ヘルソン州で奪還の動きは雨による天候不良のため停滞している。
10月21日に、88カ所の集落奪還が伝えられたが、その後大きな戦果は伝えられていない。
ロシア国内でも、国営メディア記者らが現地に入り、詳細に動きを報じている。
住民が「最近、新たな部隊が街に入ってきた」
「戒厳令の後は、兵士たちに勝手に連行されて『塹壕を掘れ』などと言われる」との証言が出ている。
州都ヘルソンの奪還は確実との声もあるが、現地をを取り巻く状況は変わらず不穏だ。
ロシアがドニエプル川西岸地域を維持する事は相当困難になっている。
だが、放棄するようでは、ロシアが主張する「併合」も陰りが見えてくる。
プーチンがそうあっさりと手放すとは考えにくい。